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ー雪山ー194

「だよな……降りて行って、また、リフトでって事にも出来なさそうだしな」 「せやろ?」 「ここで望達の事を待つか? ここから上に上がって行ってみるしかねぇよな?」 「せやったら!?」 「そりゃ、迎えに行く! だよなぁ」 「当たり前やんかー!」 「じゃ、行くぞ!」  和也は雄介にそう言うと二人はゆっくりと上がり始める。  この時間は本当に人がいない。 ましてや望や裕実が着ているレンタルウェアは分かりやすい色でもあるのだから上から滑ってくれば直ぐに分かるだろう。  だが望達は十分経っても降りて来る気配がなかった。 「まさか、この吹雪で望達のこと、見落としたんかな?」 「それはあるのかもな……」  雄介のその言葉に対し和也も雄介と同意見のようだ。 「ほなら、俺、下の方に行ってみるわぁ」 「あ、ああ……」  雄介は向きを変えると華麗な滑りで降りて行った筈だったのだが雄介が滑っていった直後だったろうか。 雄介の悲鳴というのか、うめき声のような、そんなような声が和也の耳に届いたらしい。  和也はその声を聞いて、急いで今声がした方へと降りていく。  ほんの少し滑った所で雄介が転倒している姿が目に入ってくる。 「雄介! どうした!?」 「ん? 和也か……ただな足が絡まってもうて、転けたっていうだけやって……ぇ! まぁ、とりあえず、大丈夫やしな」  雄介はそう言いながら和也に向けてピースサインを送るのだが雄介の足が気持ち的に曲がっている事に気付く和也。  普通はスキー板をハメた状態で転けた際にはスキー板が直ぐに外れるような仕組みになっているのだが、どうやら雄介のスキー板は外れなかったらしい。 そのせいで雄介は骨を折ってしまったという事だろう。 「雄介……ごめん……」  先に和也は雄介に向かって謝ると雄介の足へと触れる。 「痛っ!」 「やっぱりか……」 「やっぱりか……ってなんやねんっ……!」 「雄介! 痛いのは我慢する所じゃねぇの。 確かに一般の人だったら、そういう風に怪我しても誤魔化せるのかもしれねぇけど、俺や望の前ではそういうのは誤魔化しは効かねぇんだからな」 「せやけど、そないな事言うたら、お前、望探しに連れてってくれへんやろ? せやから、今回の事については黙っておった所やったんやけどな。 お前だって、裕実の事心配やねんやろ?それくらい、俺だって望の事、心配やねんって。 とりあえず、俺は自分の足がどうなってもええから、望の事探しに動くからな」

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