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ー雪山ー212
望はその裕実の声に反応すると、
「窓の外見てみろよ。 風の方も止んで来たみたいだし、もう、朝みたいだぜ……」
裕実は望にそう言われて窓の方に視線を向けてみると望の言う通り外が明るくなってきたようだ。
望は腕を組んで今の裕実の事を考える。
一体、裕実という人物はどれだけ観察眼というのがあるのであろうか。 前から裕実はドジな所だけは表に出ていたのだが最近はドジな所が減ってきたようにも思える。 そんな裕実は凄いと思っているのかもしれない。
そうだ確かに裕実のドジな所以外は和也並にパーフェクトなような気もしてきたのであろう。
望は急にホッとしてしまったからなのであろうか。 気を抜いた瞬間、腕を組んだまま後ろにひっくり返りそうな所を誰かの手によって支えられる。
「あ、ゴメン」
「いいですよ。 今のこの状況で一番大変だったのは望さんだったんですからね」
「あ、ああ……もう、大丈夫だからよ。 背中から退いてくれても平気だからさ」
「本当に大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。 本当にゴメンな。 みんなにこう迷惑掛けちまってるみたいでさ」
「そんな事はありませんよ。 今はそう! 望さんが一番大変なんですからね。 それに、僕達の方は全然迷惑だとは思ってはいませんから、雄介さんとも仲間だと思っていますから」
裕実は望の背中から退きながら望の方へと笑顔を向ける。 そして、さっき座っていた場所へと戻って行くのだ。
「ああ、ありがとう……」
望の方はそう俯きながらもそう言う。
確かに恋人の事も大事なのだが恋人と同じように友達や仲間というのは心までも支えてくれるもんなんだと望は気付かされたような気がする。
「そろそろ、和也の方も起こそうか? 和也にはもう一仕事してもらいたいからさ」
「和也さんに仕事ですか?」
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