790 / 2160
ー雪山ー218
何故か今日の望は裕実の前なのにも関わらず雄介からの頼み事を受け入れたようだ。
それは、どういう風の吹き回しなんであろうか。
雄介が怪我をしていて気を使っているから? それとも夜中裕実と話をしている時に、裕実に言われたから? なのであろうか? そこは望にしか分からない所だ。
少なくとも今はその両方が重なっているのだから、そう素直に答えたのであろう。
望は雄介に言われた通りに雄介の唇に唇を重ねる。
「ん……ありがとうな」
「あ、当たり前な事だろ?」
流石の望もそこは顔を赤くし視線を逸らしてしまっているのだから望からしてみたら人前でこんな事、恥ずかしい事だったのかもしれない。 そんな望の姿に雄介と裕実はクスリとしていた。
「あー、もう……なんなんだよー、お前等は……」
「あー、そうなぁ、望らしいなって思うてな」
「雄介さんの言う通りですよ。 まぁ、望さんからしてみたら、成長したのかな? って思いましてね」
「だからって、笑う事ねぇだろうが」
望は顔を真っ赤にしながらも裕実には少し睨み顔で見つめる。
「分かりましたからー、そんなに僕の事睨まないで下さいよー」
裕実は望から視線を逸らすと助けを求めるように今度は雄介の方に視線を向ける。
「本当に望さんって怖いんですね」
「ああ、せやから、怒らせん方がええで……」
「みたいですね」
「お前等なー! 俺の下コソコソ話したって聞こえてるつーの!」
そう二人は望の真下でそうコソコソと話をしているのだから確かに丸聞こえだ。
そうなると、望の声は二人からしてみたら上から聴こえてくる訳で雄介は望の方に視線を向けて、
「あー、ホンマ、望怖いでー。 な、裕実……今は望の方に顔向けん方がいいのかもしれへんよ」
「本当ですか? それでは、見ないようにしますね」
二人がそうふざけているというのが望には伝わっているもであろう。 一応、望は二人に向かって睨んでいるのだが特に望は本気では怒ってないようにも思える。
とその時、外のドアの方で物音がして、その後直ぐにドアが開く音も聴こえて来るのだ。
その物音に三人が気付かない訳がないだろう。 顔を上げて部屋の中に入って来る人物を待つ。
「お! 雄介、起きてたのか? とりあえず、下に行くぞ! 流石にこんな所にはヘリは下ろせないって言ってたからな」
「それはいいんだけどさ、雄介の事をあまり動かさないでどうやって連れて行くんだ?」
ともだちにシェアしよう!

