796 / 2160
ー雪山ー224
だが和也がフッと人の気配に気付くと病室のドアの向こうに何かを感じるような気がした。
和也はそちらに視線を向けるとドア付近に誰かがいるようだ。 ドアにある半透明なガラスの向こうに影らしき物があるからだ。
和也は、
「誰だ!」
と声を上げてドアを開けるのだが、もう和也がドアを開けた頃には全くもって人の気配がなくなっていた。
廊下には数人の看護師と患者さんと見舞客が歩いている位で和也が感じたような不審人物の気配すらない。 ただ一人の人物の後ろ姿が気になった。 寧ろ和也からしてみたら知っている人物だ。
「今、ここを覗いていた犯人っていうのはアイツかぁ!? 本当にしつこい奴だよな……まったく……」
和也小さな声でそう呟くと何事もなかったような表情をしドアを閉めて病室の中へと入って来る。
「誰かいたのですか?」
そりゃ、あんな怖い顔をして廊下に顔を出したのだから気になる所だろう。
「あ、いや……別に何でもねぇよ。 ただ、患者さんが通ったのを勘違いしただけだ」
そう和也はいつもの笑顔で言うのだが、
「誤魔化すんじゃねぇよ」
「誤魔化さないで下さいよ」
と裕実と望にほぼ同時に言われ、しかも二人共、ほぼ同時に和也の事を見上げる。
「……ったく、お前等なぁ」
和也はそうため息を吐くと、
「マジでなんでもないんだって……」
「……って言いますけどね。 僕だって和也さんとほぼ同じ位置位に居るんですよ。 病室のドアの向こうに人影があったの知ってたんですからね」
「それに無理して笑顔を見せてたって事は何かを誤魔化しているって事だろ? 俺は何年お前といると思ってんだ?」
二人のその言葉にもう誤魔化しは効かないと思ったのか和也はひと息吐くと、
「ったく……お前等の前ではホント嘘なんか吐けねぇよな。 分かった言うよ」
と和也の方は降参したかのような口振りで言うのだ。
ともだちにシェアしよう!

