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ー波乱ー152
「君にはまだ……子供が生まれてないから分からないのかもしれないのだけど、親というのはどんな子でも守りたいとおもうのだから、どんなに出来ない子でも自分の夢や子供の夢を叶えさせたいと思うものなのだよ。 それと早く一人前になって欲しいともね。 ウチの病院には跡を継ぎたいという輩は沢山いるみたいだけど、やはり、私としては息子に後を継いで貰いたいと思っているからね。 私がまだ現役でやっていられる時には院長の席は譲る事はしないよ。 それに、息子達に後継者になってつもりだしね。 私の遺伝子を継いでいる者なら、考え方とかも同じなんだし、今の方針のままでいってくれそうだしね。 もし、望以外の誰かにやってもらうとしよう……きっと、今の方針とは違う事になってしまうんだと思うよ。 そしたら、今まで私が培ってきたものが崩れてしまうかもしれないからね。 息子だからこそ、私の意思を受け継いでくれると思っているから」
「望なら、きっと、院長の意思を受け継いでくれると思いますよ! 望はああいう性格だから、誰にも素直にはなれない性格ですけど、だけど、最近では望の恋人である雄介には大分素直になってきたみたいですけどね」
裕二はその和也の言葉に少し遠い目をすると口を開く。
「今、望の母親はまだアメリカにいるんだけどね。 まぁ、そこのところは後にして……。 まぁ、望は私の息子だけあって頭の方は良かったみたいだよね。 小学校の時から成績は学年のトップだったのだけど、私はその事については一度も褒めた事がなかった。 そう、ウチの家系はみんな医者をしてきたから、逆に言えば当たり前な事だったからね……だからなのかな? あの子は私には素直にならなくなってしまった。 多分、頭のいい子だったから、『親父に言っても褒めてもらえない』とでも思ってしまって心を閉ざしてしまったのかもしれないよね? だから、素直になる事を辞めてしまった。 でも、息子は息子なのだから、大学に入ってからは甘やかせてしまったんだ……大学時代は色々と私生活の方でもお金が掛かる時期だと思うから、事あるごとにお金を振り込んでしまっていたんだよね。 だけど、息子の方はこう素直に感謝の気持ちはなかったのかもしれないね。 そう、私が教えてしまったように、息子的にもそれが『当たり前』と思ったのかもしれない。 でも、雄介君って言ったかな? 望の恋人である雄介君と出会って望は良かったんだと思うよ。 本当は親の私がやらなきゃいけない事を彼がやってくれたのだからね」
それを聞いて和也は納得したようだ。
「それ……実は僕にも出来なかった事なんですよ。 そうか……僕に足りなかった部分ってそこだったんですね。 雄介にはそれが出来たっていう事なのかな?」
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