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ー波乱ー154
「そうだね……ありがとう。 やっぱり、君が居てくれて助かったよ。 誰も居なかったら私の方も動けなかったかもしれないからね」
和也はその裕二の言葉に頭を頷かせる。
裕二だって人間だ。 平静を装っていても心の中ではかなり動揺しているのであろう。
「院長! 誰かバイク持ってませんかね? バイクでだったら間に合うのかもしれませんよ」
「バイク……? それなら、一応、私のがあるかな?」
「なら、それで次の所にまで行きましょう!」
「ああ!」
二人はアイコンタクトをし頭を頷かせると、さっきと同じように鞄へとお金を詰め裕二が持っているというバイクの所へと急ぐのだ。
「バイクという話が出てきたという事は君もバイク持ってるのかな?」
裕二は駐輪場へと到着すると和也へとヘルメットを投げ渡す。
「はい、持ってますよ。 今はあまり使ってないのでマンションの駐車場に置きっ放しですけどね」
裕二の方はその和也の言葉に微笑むと和也をバイクの後ろへと乗せ渋滞している中をすり抜けるようにして目的地へと向かう。
確かに和也の言う通りバイクだと十五分ギリギリで到着する事が出来たのだが、ただ犯人が支持してきたトイレまで間に合うかが問題な所だ。
裕二は和也にバイクを預けると諦めずに地下場内にあるトイレへと向かう。
そして、そのトイレの奥にある個室へとその鞄を置くと直ぐにそこを立ち去り和也が待っていると場所へと急ぐのだ。
だが裕二が地上へと上がってきた直後。
今バイクで走って来た方角で何やら爆発音みたいなのが聴こえて来る。
「……まさか!?」
裕二と和也は一瞬視点を合わせると再びバイクを走らせてその爆発音が聞こえた場所へと急ぐのだ。
とりあえず緊急事態だからと言って裕二が運転しているバイクというのは緊急車両でもなんでもないのだから法定速度は保ちながら走らなきゃならないだろう。 だが、その和也達がバイクに乗っている横をサイレンを鳴らして一台のレスキュー車両が通過していく。
それを見た瞬間、そのレスキュー車に雄介が乗っている姿が和也には見えたのか、
「雄介!」
と和也は思わず叫んでしまっていた。
そのレスキュー車には『HARUSAKA RESCUE』と書いてあったのだから完全に雄介の所の特別救助隊の車両だ。 だが、この車が沢山走っている中サイレンが響いてる中では和也の声は完全にかき消されてしまったのであろう。 和也の雄介を呼ぶ声は聴こえてなかったらしい。
それから雄介が現場へと到着した五分後。 和也達のバイクも現場へと到着するのだ。
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