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ー波乱ー157

 だが望の体からはまだ温もりを感じ取れる所から望が生きている事が分かる。  そこに安心した雄介だったのだが、その救急隊員が首を振った所が気になる所だ。 「……って、今、何でお前は首振ってたん?」  雄介がそう言いながら、その救急隊員へと掴み掛かろうとした時、雄介の瞳にまたそのさっきの光りが目に飛び込んで来る。 「雄……っ……介……や、辞めろっ!」  またこう苦しそうに訴える望。 「……って、さっきから、その光りはなんやねんなぁ?」  雄介の方は望がさっきから放ってくる光りに鬱陶しさを感じながら望の声が聞こえる高さへと腰を下ろす。 「これ……お前から……貰った……痛っ!!」  望の方はゆっくりと右腕を動かすと手で握っていた雄介から貰ったドッグタックを掲げるのだ。  望の手の中に握られていたドッグタッグ。 それが今回の事件、事故で役に立ったという事だ。 「これって、俺があの時に上げたやつかぁ!?」 「ああ、今回は……このドッグタッグのおかげで助かったんだからな……」     ちょうど望が雄介に向けて笑顔を向けた時に和也達も望のそばへとやって来る。 「望! 大丈夫なのか!?」  和也はとりあえず望が生きていた事にホッと胸を撫で下ろしたようで笑顔を望へと向けると望の方はその和也の言葉に頭を頷かせる。  和也や雄介が安心したのも束の間、 「望……? 左手の方は動かす事が出来るのかな?」  その裕二の質問に雄介も和也も目をパチクリさせるのだ。  和也と雄介に関しては望が生きていたという事に安堵していただけで怪我の方は気にしてなかったらしい。  望は裕二が言うように左腕を動かそうとしているようなのだが、なかなか動いてくる気配はなかった。  その状況に雄介も和也も二人共、顔に力が入ってしまっているような表情をしている。 きっと今の望のように顔に力を入れて一緒に望の左腕を動かそうとしているのかもしれない。 「左腕の方は切断する事になるのかもしれませんね……」  そう救急隊員は言った直後、和也と雄介はその救急隊員の言葉に言葉を失うのだ。  救急隊員が望をストレッチャーへと乗せた直後、裕二は望の左腕へと触れると、 「これくらいなら、私がやれば切断せずに済むのかもしれないな? まぁ、先ずは病院に行って、レントゲンを見てみないと断言は出来ないけどね」  そんな事を言いながらも裕二は雄介と和也の方へと笑顔を向けるのだが、その笑顔は一体どういう意味なんだろうか?

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