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ー波乱ー158

 その裕二が見せた笑顔というのは『私になら治せる』という意味なのか? 『まだ、助かる見込みは分からないのだけど和也や雄介の事を安心させるという意味』なのか? は分からない所だ。 「梅沢君! とりあえず、急いで病院の方に戻って望の手術するよ!」 「はい!」  そう和也の方はその裕二の言葉に返事をすると裕二と一緒に救急車の方へと乗り込むのだ。 「ほな、後は望の事は任せたで……」 「分かってるって! こっから先は俺達の方の仕事だからなっ!」 「ああ。 俺は望んとこに行けるのは明日になってまうけど、後は宜しくな! 話の方は明日聞くしな」 「ああ……」  そう和也と雄介の会話が終わった直後に救急車の後部のドアが閉められる。 そして春坂病院に向けて救急車はサイレンを鳴らして走り出す。 「和也……」 「なんだ?」  呼吸器の合間から聴こえて来る望の声に和也はそう答える。 「雄介から貰った大切な……いや、俺の命を守ってくれたドッグタッグ……俺の手術が終わるまで持っていてくれねぇか? 流石にこれを手術室に持ってく事は出来ないからさ」 「ああ、わかった。 手術が終わったら、絶対に望に渡すからよっ!」  和也は望の右手に握られていたドッグタッグを望から受け取ると、ある事に気付く。  当然、普段は首にしている物なのだから鎖で繋がっている物なのだが今はもうその存在がない。  左腕を負傷していた望なのだから、きっと、これを外す時には右手に渾身の力を込めてその鎖をブチ切ったのかもしれないと和也は思った。  それを和也は大事そうにハンカチの中へとくるみポケットの中へと仕舞う。  現場から病院まで、そう離れていなかったお陰か病院の方には直ぐに到着し、そして和也と裕二は直ぐに望を手術室の方へと運ぶと手術を行うのだ。  それから数時間後。  望の方は目を覚まし天井を見上げる。  口には未だに呼吸器が付けられていていたのだが目を覚ますと聴覚をも起きて来たのであろう。 周りにある機械音が望の耳に入って来たようだ。 きっと今の望にはその機械音さえも懐かしく感じているのかもしれない。  だが今は他の患者さんを診て回っている所ではない。 今の望は患者さんとして病院に居ることに気付いたようだ。  そして起きたと同時に左腕の方に痛みが走ったようで、 「くっ!」  望の顔には眉間に皺が寄り全身に力が入ってしまった事で再び痛みが全身へと走り抜けてしまう。

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