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ー波乱ー164

「そうだったんだ。 ある意味、雄介からのいいプレゼントだったんだな。 そのドッグタッグ」 「ああ、確かにこれがなかったら、助けを求める方法がなかったかもしれなかったしな。 もし、震災とかで瓦礫の下に埋もれてしまった時に笛を鳴らして自分がいる場所を知らせるというのを思い出したからさ、それで、そのドッグタッグを使って光りを反射させてみたって事だ」  望はひと息吐くと思い出したかのように、 「お前……まさか、昨日から一睡もしてないんじゃねぇのか?」 「ん? それはいつもの事だから、慣れてるから平気なんだけどさ……まぁ、二時になれば雄介がフライングするような勢いで吹っ飛んでくるだろ? それまでは俺がここに居るからな。 そこからは俺は寝る事にするよ。 それに、流石に今日からは警察が望の病室前にでも待機してくれるだろうし、だから、もう望的にも安心だろ?」 「ま、そこは親父が警察に頼んでくれるだろうしな」 「確かに頼んでくれるとは思うけどさ、まだ、外に警察官がいる気配はねぇけどな。 ま、いっか……。 んで、望は俺の体の方心配してくれる訳?」  そうふざけて言う和也だったのだが望はその和也の言葉に顔を赤くして、 「ば、馬鹿っ! それは無いに決まってるだろ!」  そう言うと望は布団の中へと潜って行ってしまう。  和也はそんな望に微笑むと椅子の方へと腰を下ろすのだ。  望の性格というのは本当に分かりやすい。 心配してないと口では言うのだが行動に出てしまっているのだから。 「ま、いっか……」  そう和也の方は独り言を漏らすと雄介が来るまでの時間、窓の外を眺める。  昨日とは違い、雲一つない青空が広がっていた。 「和也……」   と布団の中から籠ったような望の声が聴こえて来る。 「ん?」 「……ト、トイレ……」  布団の中からだったのか望の声は和也には届いてなかったのであろうか? 和也は、 「はぁ!? 今、なんて言ってたんだ?」  と聞き返す。 「だから、トイレだっつーの!」  望の方は布団から這い出てきて和也に向かい叫ぶようにして言うのだ。  その時、目が合ってしまった二人。 何故だか一瞬、固まったようにも思えたのだが和也の方は慌てたように、 「トイレなトイレ……」  そう和也の方はニヤけたように言うと、 「ああ、トイレだ……トイレ……」  と言いながらも望も和也から視線を外して顔を赤くさせていた。 「でも、行けない事はねぇだろ?」 「まだ、頭の方はクラクラするんだよ……だから、車椅子の方持って来てくれねぇかな?」 「なら、最初から車椅子だって言ってくれれば良かったじゃん!」 「うるさい! いいから、早く、車椅子の方を持って来てくれよっ!」

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