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ー海上ー59
「そういう事だったんですかー。 雄介さんがそうならない事を願うばかりですね」
裕実の方はそう言うと望に向かって笑顔を向ける。
「ああ、そうだな。 親友も大事なんだけど、でもさ、恋人とは何か重みが違うっていうのかな?」
望の言葉を聞いて和也の方はクスリとすると、
「望がそう考えるようになったって事かぁ、ホント、雄介って幸せもんだよな?」
「べ、別にそうじゃねぇよ……」
そう望の方は顔を真っ赤にしながら言うものの、それは逆効果っていうやつだろう。
「やっぱり、そうなんじゃねぇか」
「望さん……そこはバレバレですよ」
裕実も和也も望のその言葉にクスクスと笑い始める。
「お前等なー! 二人して言わなくてもいいじゃねぇか!」
「望の過去はそうだとしても、今は幸せなんだからいいんじゃねぇの?」
「……え? あ、ああ……まぁ、そうだな……」
望はそう顔を赤くさせながら顔を俯かせる。 そして、静かに箸を置いて「ごちそうさま……」と言うと、一人ソファの方へと向かってテレビを点けるのだ。
「和也……そんなに望さんの事、いじめちゃダメですよー」
裕実の方はそう小さな声で和也へと伝える。
「何言ってんだ? 俺からしてみたら十分に望とはふざけているつもりなんだよ。 望が本気で嫌がってるんだったら辞めるんだけどさ、望の方はそんな事一回も言った事なかったしな。 って事はさぁ、望の方は俺の性格とかっていうのは認めてくれてるって事だろ?」
「そういう事だったんですか。 二人共、お互いの事分かってるって事なんですよね?」
「まぁ、多分な……。 一度だけ本気で喧嘩した事があったけど、あん時、最初に『もう一度、和也と一緒になりたい』って言って来たのはアイツだったからな」
「そこは、意外ですね」
「だろ? 俺の方はその望の言葉に一瞬びっくりはしたんだけどさ、でも、俺の方も望の事好きだったから、直ぐに返事はしたけどな」
「そういう事だったんですか」
そう二人が丁度話が途切れた所で望の声が聴こえて来る。
「マジかよ……!?」
その声と共にテレビ画面を食い入るように見ている望。
その望の声に気付いた和也と裕実は、
「いきなり、どうしたんだ?」
そう和也がソファの方にいる望に声を掛けても望からの返事はなかった。
和也と裕実の方は視線を合わせ首を傾げると今度は望が見ているであろうテレビ画面の方へと視線を向けるのだ。
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