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ー過去ー101

望の中では今にも雄介に抱きつきたい気分なんだろうが、本当に自分の性格が邪魔してるのであろう。 望の方はただただ正面へと視線を向け微笑むだけで留めてしまったようだ。 「ゴメン……望は嫌って思うのかもしれへんねんけど、やっぱ目の前に望がおったら、我慢出来へんようになってきたわぁ」  雄介はそう先に望には謝ると望の体を横から抱き締める。  だが、それは望も望んでいた事だったらしく嫌がる事はせずに、この小さな幸せの時間を大人しく過ごしていたのだが、いきなり後ろからクラクションを鳴らされてしまい現実へと戻されてしまったようだ。 「せやったな……今、まだ、車の中やったんだっけな」 「ああ……」  現実へと戻されてしまい、望は顔を赤くしたまま運転を再開させるのだ。  それからは車はすんなりと動き出し、雄介を乗せたまま家へと到着する。 「はぁー、やっぱり、遅くなっちまったな」 「せやな……さっきまでは明るかったのに、もう、空は真っ暗になってきておるしな」  雄介はそう言いながら車から降りると空を見上げる。 「一番星見つけた!」 「意外にお前ってロマンチストなんだな」 「一番星って願い事が叶うんやろ?」 「それは、流れ星の事なんだろうよ。 あんなの無理に決まってるよなぁ? 三回も願い事言わなきゃなんないんだぜ」 「でも、三回言えたら願い事が叶うって言われておるんやろ?」 「まぁな……でも、絶対に無理なんだからな」 「……って事は……望はやった事あるんか?」 「ああ、ある」 「なんや意外にやった事があるんやんかぁ」 「子供の頃にだよ……」 「子供の頃にやった事があるんやなぁ。 俺は先ず流れ星一回も見た事ないしなぁ」 「そうなのか!? まぁ、流れ星はそうそう見れるもんじゃあねぇけどな……願い事云々より見れただけでもラッキーな事なのかもしれねぇぞ」 「そうなのかもしれへんなぁ」  雄介は再び夜空を見上げると、丁度その時に流れ星が流れ、 「今! 流れ星がっ!」  そう興奮気味に言う雄介。 「な? だから一瞬だろ?」 「あー、確かにあんなんじゃあ、願い事考えてる間に流れてもうわぁ」 「さて、そろそろ寒いし、部屋に入ろうか?」 「ああ……」  雄介は望の後に付いて部屋の中へと入って行く。 「さて、飯の用意せなぁな」 「ああ」  望は鞄をソファへと置くとソファへと腰を下ろす。

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