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ー過去ー104
その雄介の言葉に直ぐに望は自分が言ってしまった事に気付いたのであろう。
「あ、いや……だからだな……」
そうしどろもどろになる望。 何とか誤魔化そうと言葉を探しているようなのだが、どうやらなかなか見つからないようだ。
「あ、だからだな……」
雄介は、その望の先の言葉が気になるのか、望が何か言ってくれる事を待っている状態だ。 そう雄介は望の事をジッと見ているのだから。
「だから……それは……」
とうとう望は誤魔化せないとでも思ったのか、望は雄介から視線を外し、
「本音なんだろうな……。 そういう事無意識のうちに口にしてたんだからさ」
相変わらず素直になれない望なのだが、この言葉だけでも雄介からしてみたら十分なのかもしれない。
雄介の方はクスリとすると、
「最近の望は素直になれて来たやんか……。 特に俺の前ではな」
「まぁ、そこは……まだ雄介だけだからな」
「そんでも成長しとるって事やろ?」
その望の言葉に再び雄介の方は何か考えているようだ。 肘をテーブルに付け視線だけを天井へと向けているのだから。
「それは、ええ風にとってもええもんなんか?」
「あ、ああ……。 雄介が思っている風にとってもいいと思うぜ」
ここまで来たらもう開き直るしかないだろう。 望の方はそう顔を赤くしながら答える。
「ほなら、和也にも少しずつ素直になってみたらどうなんや? そしたら、喧嘩しないで済むかもしれへんで……」
「あ、ぅん……」
望の方はそう答えたものの、どうやら、まだこには自信がないようだ。 そう言葉を濁らせてしまっているのだから。
「性格って、そうそう直せるもんではないんやけどな。 俺も和也も望の性格を理解してたらええねんけど、流石に出来る時と出来ない時がある訳やんか。 せやから、時と場合を考えてみたらどうや?」
「ああ、そこは努力はしてみる」
「じゃあ、望……俺の事はどう思ってるん?」
雄介は和也みたいに段階を踏んで少しずつとは出来ない性格なのであろう。 だが雄介は優しい性格で、いきなりという感じではなく、言えるタイミングは作ってくれるらしい。
和也の場合には頭が先に動くのだから、考えてから言葉にする人間なのだが、雄介の場合には頭より先に言葉が出てしまう人間らしくそう言ってしまったのかもしれない。
「ど、どう思って……あ、そうだな……」
望は再び顔を俯かせ、顔を赤くしながら、どうやら雄介のその質問には一生懸命答えようとしているようだ。
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