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ー過去ー114

 望はいつものように病院中にある部屋へと向かう。  そこには裕実がソファへと座っていた。 「裕実……おはよう」 「おはようございます! 望さん!」  そう元気よく返事する裕実。 「今日はやけに元気なんだな……」  望はそう言いながら鞄えお自分の机の上へと置いた直後だっただろうか、 「まぁ……はい!」  裕実の方はこう何か言いたげな表情をしているのだが、望の前ではそれを話してはいけないとでも思っているのか、返事だけで留めてしまったようだ。  そして望はそんな様子の裕実には気付かずにロッカールームへと消えて行く。  やはり二人の間ではあまり会話というものは弾まないのであろうか。 そう二人というのはどちらかと言えば、聞き手側であまり話す方ではないからなのかもしれない。  望が部屋から出て診察室へと向かおうとした時、丁度、隣の部屋に居る和也達も出て来たらしく、鉢合わせしてしまった望と和也。 今の二人というのは喧嘩をしているのだから気まずいのかもしれない。  だが和也から望へと声を掛けて来る。 「よっ! 望!」  いつも明るい和也の声に望は顔を上げると、望の方もいつもと変わらない感じで、 「おう!」  と返す。 「とりあえず、また、後でな……」 「あ、ああ……またな」  望の方は相変わらず素っ気ないような態度ではあったのだが、望の表情はこうホッとしたような表情になったようにも思える。  それから望の後ろを歩いていた裕実が望の方にだけ顔を向けると、 「昨日の和也との喧嘩、望さんは気にしないで下さいね。 和也はああいう性格ですから、きっと、一日経てば忘れてしまうんですよ」 「あ、ああ……そうみたいだな」  そう裕実の方はフォローを入れたものの、本当の所は昨日、裕実は和也のフォローをしていたらしく、今日は今日で望にフォローを入れ二人の仲を戻したっていう所だろうか。 しかも二人の性格を汲んでフォローしているのだから、二人がいつもの二人になれるのは間違いない。  望の方はやっと楽になったのであろうか、昨日とは違いいつもの望を取り戻したようにも思える。 診察の時間も普通にこなし今日一日の仕事を終える望達。  すると、いつもの如く和也は仕事を終えると望と裕実がいる部屋へと入って来て、 「お疲れさーん!」  そういつものように元気よく部屋へと入って来ると、 「和也、うるさーい!」 「俺は元気なのが取り柄みたいなもんなんだから仕方ねぇだろ!」  そう言いながら和也はソファへと座るのだ。

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