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ー過去ー139
「そうですよー。 和也の事待ってたら、お腹空き過ぎちゃいますからー」
「……んでもさ」
と和也は話を続けようとしたのだが、今日は記念日だという事を思い出したのか、そこで言葉を止めて、
「ま、いいや……俺が買って来た分は、帰ってから裕実と食べるよ。 やっと、俺達の方もちゃんとした恋人になれたんだしな」
その和也の言葉に今まで呆れたような表情をしていた望と裕実だったのだが、望の方は軽く微笑み、裕実の方は椅子から立ち上がるのだ。
「本当ですか!?」
「俺がそんば事で嘘吐く訳ねぇだろ。 寧ろ、こんな嬉しい事で嘘なんか吐いてどうするんだよー」
そう言いながら和也は椅子へと腰を下ろすのだ。
「どういう事なんですか?」
「ま、とりあえず、俺達の話は後でな……今は望が主役なんだからよ」
「そうでしたね」
和也のその言葉に裕実の方は大人しく椅子へと腰を下ろすと、同時に和也は蝋燭へと火を付け電気を消し和也はソロでいきなり誕生日の歌を歌い始める。 始め裕実は歌ってなかったのだが、和也に促され一緒に歌い始める。
そして、それが終わると同時に望は蝋燭の火を消し、そのまた直ぐ後には和也が電気を付けるのだ。
「なんだか、今更、誕生日のお祝いされると照れ臭いもんなんだな」
「気にすんなよ……ただ単に俺がしてやりたかっただけなんだからよ。 ま、まぁ……とりあえず、もう後はご飯食うだけだろ? 気楽に行こうぜ。 望もその方がいいんだろうしな」
「まぁな……」
「だから、いつも通りにしてたらいいんだしよ。 だからって、俺が主役ではないんだから、俺がやりたいようにしようっていう訳でもねぇしよ」
「そうか……」
「そうそう……いつもの夕食だと思ってくれたらいいしさ」
そう何気ない和也の言葉。 流石は望の性格を知っているからであろう。
和也のその何気ない言葉に望の方は緊張が解れているようにも見える。
いつもと変わらない誕生日。
相変わらず和也が馬鹿な事を言って、望と裕実から非難を受ける事なんか、いつもの事で本当にいつもと変わらない夕食だ。 和也が馬鹿な事を言うもんだから、裕実も望も笑顔が絶えることはなかった。
そうこの二人に関しては仕事の時とはいつも以上に、真面目で殆ど笑った事さえないのだから余計になのかもしれない。
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