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ー過去ー142

 そして次の朝。  望は目覚めると時計の方へと視線を移す。 すると今の時刻というのは朝の九時半だ。 雄介が帰宅してくるまで約三十分。 望は体と目が覚めるまでベッドで過ごす事にしベッドで横になっていると、フッとある事を思い出したようだ。 そうだ。 このままベッドの上で過ごしていた方がいいのかもしれない。 雄介の仕事というのは、二十四時間勤務で夜中に出動があれば寝てない事になる。 それは流石に辛いだろう。 なら望がここで雄介が帰宅してくるのを待っていて午前中はそのまま雄介をベッドで寝かせ、それから何処かに出掛ければいいのだと思ったのかもしれない。 そう考えると望は雄介が帰宅してくるまでの約三十分はベッドで待ってくる事にしたようだ。  だが雄介が帰宅時間は十時位だって言っていたのにも関わらず、時計の針が十時を差しても雄介が帰宅して来る気配が全くない。 それにプラスして望の携帯にも何にも連絡が入って来ないようにも思える。 雄介の事だ、望は今日家に居ると分かっているのだから、仕事が終わったら電話やメール位は入れて来てくれると思ったのだが、それもない。  それから十分後位だっただろうか、望の携帯が震える。 短い時間で切れてしまった所からメールなんだろう。 望は携帯を開くと、どうやら、そのメールの相手は雄介ではなく何故か和也からだった。  何でこの時間に和也からメールが来たのであろうか。 和也だって今日の望は雄介と二人きりで過ごす事を知っているのだから、わざわざ望にメールしてきて邪魔する事なんてしなくてもいいのに。  望は仕方無しに今来た和也からのメールに目を通す。 と、そこには、 『今すぐに、どのチャンネルでもいいから、ニュース見た方がいいぞ!』  という文だけのメール。 そんな言葉だけじゃあ、全く意味が分からない。  とりあえず望はベッドから降りるとリビングへと向かい、ソファへと腰を下ろしながらテレビを点けるのだ。  すると、そこには自分の目を疑うような光景が入って来た。  現場の現状を緊迫したような様子でアナウンサーが実況している姿だったのだが、今テレビを点けたばかりの望には本当に今何が起きているのかが分からない。  アナウンサーが実況しているのを聞きながら、望はテレビ画面の右上の方に視線を向けると、そこには『LIVE 春坂市』という文字が出ていた。 「春坂市!? ……でも、この場所、見た事ない場所なんだよなぁ?」  そしてアナウンサーが実況の最初に戻ったのであろう。 再び、原稿を読み始める。 『繰り返しお伝えします。 今日、朝八時二十分頃、春坂市にて爆発事故が発生いたしました。 現場は花火工場で、死者の数が数十人いる模様です。 今、現場には続々と消防署の車が何十台と集まり、消火活動にあたっていますが、未だに火がおさまる気配はございません』

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