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ー過去ー144

『……ぞむ……望? 聞いてるのか?』  望は一瞬、固まっていた為か、どうやら和也の話は聞いてなかったようだ。 『どうしたんだ? 望……!』 「あ、ゴメン……今一瞬……ボッーとしてただけだからよ』 『だから、どうしたんだ?』 「今……テレビでさ……救助隊の一人が死亡したって言ってたんだよ。 だから、それで……一瞬、思考が止まってしまっただけだ」 『……へ? それはマジなのか!? でも、雄介とは言ってなかったんだろ?』 「それは、流石に言ってなかったけどな」 『なら、大丈夫だよ。 それはきっと雄介じゃないと思うしな』  そう和也の方は真剣に言うと。 『とりあえず、もうすぐ望の家に着くからよ。 待っててくれよ』 「ああ、待ってる」  流石の望も『救助隊一人死亡』のニュースには一人で居られるような気分ではなかったのか、和也が言っていた言葉を素直に受け入れたのであろう。  それから暫くして望の家のチャイムが部屋内へと響き渡る。 きっと和也が心配して来てくれたのであろう。  望は重くなってしまって体を起こし、ゆっくりと玄関の方へと向かうと和也達を招き入れる。  そしてドアを開けた瞬間に和也は望の事を心配してなのか、 「望! 大丈夫か?」 「ああ、まぁ……今は一応な……」  そうは言うものの、望の表情がいつも以上に暗い。 「ま、いいや……今日は望の誕生日だけどさ……。 こんな事があったんじゃ、俺達が望の所に来ない訳には行かないだろ? とりあえず、悪いけど、上がらせてもらうぜ」 「ああ……」  望は本当にちゃんと意識があるのであろうか、そう心配する程に望の顔からは血の気が引いているようにも思える。  三人はリビングへと移ると、あんな大きな事故だけあったのか未だにニュースではその事故に関しての報道が繰り返されていた。  花火工場での爆発事故だけあってか、十一時を過ぎても火が衰える気配というのは無かった。 「和也……ニュースでは春坂市とは言っているんですが、僕達に病院からお呼びが掛からないって事は春坂の中でも遠い場所なんですかね?」 「ああ、あの花火工場があるのは、俺達が住んでる市街地よりも、ずっと、離れた場所にあるんだよ。 だから、花火工場で被害の遭った人達はその近くの病院に運ばれたんじゃねぇのかな? 俺達が働く病院から凄く離れた場所にその工場はあるからな」 「そういう事だったんですね」 

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