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ー天使ー32
そして望の家に到着すると琉斗をお風呂に入れなきゃいけない時間だったのだが、
「和也ー、琉斗を風呂に入れてくれないか?」
「……へ? 俺が琉斗を風呂に入れるのかよー」
「俺は子供と一緒に風呂に入ったことがねぇんだよ。 和也はこういうこと慣れてんだろ?」
そう和也に問ったのだが、和也の方は首を傾げ、
「確かに、俺は子供の扱いには慣れてるけどさぁ、風呂には入れたことがねぇんだけど……」
「……へ? それじゃあ、お前をここに呼んだ意味がねぇじゃねぇかぁ」
「……って、俺は子供担当なのかよ」
そう一人小さな声で突っ込む和也。
「ま、とりあえず、俺は子供を風呂に入れたことはねぇからな」
そんな望と和也のやりとりを聞いていた裕実は和也のことを見上げると、
「僕で良かったら琉斗君のことをお風呂に入れますよ」
その言葉に望と和也は瞳を輝かせ、
「じゃあ、琉斗のことをお風呂に入れるのは裕実で決定な!」
和也はそう笑顔で言うと今度は望の方に顔を向け、
「ほら、俺達が来て良かったじゃないかぁ」
「お前が自慢げに言うことじゃないだろーが……。 今回のことは何もかも裕実のおかげだな」
「まったく……最近、望も言うようになったよなぁ」
「それは和也だからな」
「それって、いいように取っていいのか!?」
そうまた笑顔で言う和也なのだが、望はそんな和也のことを睨み上げ、
「調子に乗んな……。 まったく、お前は褒めると直ぐに調子に乗るんだからよー」
「それが俺の取り柄」
「取り柄でも何でもないだろー。 とりあえず、お前はうるさいから黙っとけ」
望は溜め息を吐きソファへと腰を下ろすと、望の視線の先には先程お風呂場に向かったであろう裕実の姿が脱衣所の近くにあった。
「望さん!」
「ん? 何だ?」
いつもなら和也に声を掛ける裕実だったのだが、今は珍しく望に声を掛けて来る。
いったい何があったのであろうか。 裕実は笑顔ではなく助けてと言いそうな表情で望のことを見上げている。
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