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ー天使ー86

 少ししても観覧車は動く気配がなかった。  和也は望の様子を聞く為にもう一度、裕実にメールを入れる。  すると返事は直ぐに返って来て、 『状況は非常にマズいです。 まだ、望さんの意識は戻る気配がないんですよ』  流石にその裕実からのメールに和也は顔色を変えるのだ。  流石に意識がないままの状態で数分過ぎているのは裕実の言う通りマズいであろう。 一刻も早く望だけでも地上に下ろしてやりたい所だが、観覧車の頂上付近では何もすることが出来ない。  もうこうなったら和也は雄介には本当の事を話さないでいたのだが、雄介に望の今の本当の状況を話さなければならないのかもしれない。  今、頼りに出来るのは雄介しかいないのだから。 きっと和也の中でも、こういう状況の時はレスキュー隊員でもある雄介に頼りたいっていうのはあるのであろう。  そんな雄介は琉斗を膝の上に座らせたまま窓の外を眺めているだけだ。 当然、雄介は望がそんな状況になってる事は知らないのだから観覧車が動くまで大人しくしていた方がいいだろうと思ってるからであろう。  琉斗の方も今のこの状況において子供ながらに冷静なのかもしれない。 全く騒ぎもせず雄介の膝の上で大人しくしているのだから。  そんな中、和也は意を決したように立ち上がると、雄介に向かい頭を下げ急に、 「とりあえず、お前に謝らなければならないことがある。 ゴメン……さっきは嘘吐いた。 望のことなんだけどさ、望の奴、今、頭を打っちまったみたいで意識がねぇって裕実から連絡があったんだ。 これを雄介に話したら、お前のことだから、危険を顧みず望のとこに行くと思ったから言わなかったんだけど、今、望のことを助けられるのはレスキューで鍛えているお前しかいないんだよ。 だから、出来るんなら……望のことを一刻も早く地上に下ろしてもらいたいんだけどさ」  雄介は一つ溜め息を吐くと、 「やっぱ、そういうことやったんか……そんなことやろうと思ったで……」  雄介は琉斗のことを和也に任せ、 「こういう時の訓練はやっとるし大丈夫やって、俺に任せてくれたらええしな」  雄介はいつもとは違う真剣な顔になると、 「ちょっと離れとってな…」  雄介はそう言うとプラスチックで出来ている窓を割る為に拳を握る。  確かに訓練で観覧車にて事故が起きた場合についてやっていたかもしれないが、それはあくまで色々な装備や道具を持っている場合であって何もない中での救助はやったことはない。

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