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ー信頼ー50

 和也が診療所の鍵を開けると、子供達が待ち侘びていたようで瞳をキラキラとさせながら待っていた。 「お前達、早いなぁ」 「だって、凄く楽しみにしてたんだもん」 「そうだったのか」  診療所の前で待っていた子供達は昨日の人数とは違い増えているようにも思える。 昨日、海に来ていた子供達というのは五人位だったのだが、今は十人位になっていたのだから。 きっと蒼空達が島に住んでいる子供達を集めて来てくれたのであろう。  この小さな島に子供達というのはそんなに居なさそうだ。 この前、和也達が歩いて見つけた島の学校というのは一つしかなかった。 きっと小学校と中学校が同じ校舎にあってクラスが違うだけどいう事なのであろう。  そこで小学生の人数全校生徒で十人位しかいないのだから、都会に比べたら仲間意識も強く、みんながみんな仲がいいのかもしれない。  それに、これだけの小さな島なのだから携帯を使わなくても直ぐに仲間へと連絡が出来る環境なのであろう。  今は携帯等の電子機器が発達してきている中で、すぐに連絡を取れる道具ではあるのだが、そんな便利な機器でもこの島では必要が無いだろう。 現に望達だって、ここに来てからは全くもって携帯を使用したっていう記憶が無いのだから。 「……へ? もう、来たんか?」 「うん! それで、みんなに話したら、みんなもやりたい! って言うから連れて来っちゃた」 「そうやったんか。 別にそこは構へんで……」  雄介は優しい笑顔を子供達へと向けるのだ。 流石は小児科医って所だろう。 望とは違い雄介の場合は自然と笑顔が溢れるのだから。 確かに望も最近は笑顔が出るようにはなってきたのだが、望のはあくまで営業スマイルっていう感じであって自然にではないように思える。  雄介は昨日みたいに水着姿ではなく、一応なにかあった時には対応出来るようにと、どうやら白衣姿で出て来たようだ。 今日は診療所に子供達が来たという事もあってか、雄介は診療所内も案内し始める。  確かに第一の目的はちびっ子消防団なのだが、やはり診療所として開院しているのだから診療所の印象も子供達に残しておこうという考えがあったからなのかもしれない。

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