2011 / 2160
ー信頼ー66
「まぁ、だから、あくまで保留っていう話だからさ。 まぁ、頭の隅にでも入れておいてくれたらいいよって事だよ」
「まぁ、考えておくわぁ。 診療所の方が落ち着いたらって事でええのかもな」
「じゃあ、とりあえず、今日はそういう事で、みんなで挨拶回りするか……」
ご飯を食べ終えると四人は早速用意し、挨拶回りに向かうのだ。
望達が今住んでる島というのは、そんなには大きくはない。 人口だって然程 居る島ではなく一日もあれば回れるっていう所だろう。
望達が挨拶回りを半分位済ませると学校横がちょっと小高くなっていて獣道の上の方にも一軒家があった。 今度はそこに向かい望達は上がって行く。
一応、獣道程度の道はあるのだが、本当に人が一人通れる程度で今の季節というのは雑草が生い茂っている中を掻き分けながら上がって行く。
和也や雄介というのはこういった道は慣れていそうなのだが、こういった事に慣れてない裕実や望は遅れをとっていた。 暑いのもあるのであろうが、こういう体力的な事が苦手だから息も切れてしまうっていう所だろう。
「望や裕実は大丈夫か?」
「ま、とりあえず、俺の方は大丈夫だけどな」
「ぼ、僕の方も大丈夫ですけどー」
「大丈夫じゃなかったら言うて、後は和也と俺とで行って来るから……」
「だけど、俺達が行かないでどうするんだ? 往診っていうのは俺達の担当になんだろ?」
「あ、せやったな。 ほなら、頑張って行くしかないって訳やんなぁ」
「そういう事だ……」
四人はとりあえず、丘の上まで登り切ると、
「やっと、着いたわぁ」
「まぁな……」
そして先に丘の上にある家のチャイムを押したのは雄介だ。
雄介がチャイムを鳴らして出てきたのは、もう顔見知りである蒼空だった。
「あ! 雄介先生!」
「そうか、ここは蒼空の家やったんか……」
「うん! それで、今日はどうしたの?」
「あ! そうだった……」
その蒼空の言葉で何かを思い出したのか一瞬、雄介は独り言を小さな声で漏らすと、
「お母さんとか居るか?」
「うん!」
蒼空の方はその雄介の言葉で大きく頷くと部屋の中へと入って行って、雄介に言われた通りにお母さんの事を呼びに行ってくれたようだ。
「あら? 桜井先生、今日はどうなされたんですか?」
「あ、今日は診療所の方は休診日だったので、島の人達に挨拶をして回っているんですよ」「そうだったんですか……」
「とりあえず、ここは蒼空君の家だという事が分かりましたね。 とりあえず、蒼空……」
と雄介は今度蒼空の方へと視線を向け、
「足、痛くないか?」
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