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ー信頼ー97
「まぁな……。 今はもうお前は立派な医者になったと思うぜ。 確かに和也の言う通りだよな。 初めは『俺と一緒に働きたいから医者になる』って言ってたのにさ、今はそういった理由があるんだからな。 それに今は俺がいなくても診察や手術も出来るようになったし、だから今は安心してお前に患者さんの事預けられるようになったしさ」
その望の言葉に和也も雄介も目を丸くするのだ。
それに気付いた望は席を立つと、
「とりあえず、飯食い終わった事だし、診察室の準備しないとだろ?」
そう言うと、今の自分の言葉に望はきっと恥ずかしくなってしまったのであろう。 食器を流し台へと置くと先にリビングを出て行ってしまう。
「雄介ー、良かったじゃねぇか……望に認められたって事だろ? 今のって……」
「え? あ、あーあ! あ、ま、まぁ……ああ、そうなのかもしれへんな」
「だって、最初の頃はあんなにさ、望には医者になる事を反対されてた訳だろ?」
「ん……ああ、まぁ……な。 せやけど、まだまだやって! 医者っていう職業に終わりなんていうのは無いしな」
「……終わりがない?」
「まだまだ知らん病気っていうのもあるし、まだ、これからも珍しい症状とかいうのもある訳やし、せやから、医者っていう仕事に終わりなんか無いんやって……」
その雄介の言葉に和也は目を丸くし、立っている雄介の事を見上げる。
それに気付いた雄介は、
「……へ? 俺、なんか悪い事言うたか?」
「あ、いや……そうじゃなくてさ……つーか、逆なんだよなー、逆。 やっぱり、雄介って本当に医者として成長して来てるんだなーって思ってな」
「本当、凄いですよ! これからも医者として頑張って下さいね。 僕は雄介さんに付いて行きますからー!」
「ああ、ほな、宜しくな……」
そう言うと、雄介も望同様に食器を流し台へと置き診察室へと向かうのだ。
ロッカーで白衣だけを手に取り、診察室に入ると白衣を身に纏う。 そして今日も誰も診療所には来ないのであろう。 とたかを括って専門書や医学書がある棚へと手を伸ばし目を通していると、何だかいつもより人の気配みたいなのがするのは気のせいなのであろうか。 確かに隣にある診察室に望はいるのだから人の気配というのはしてるもんなのだが、それでも望以外の誰かの気配のようにも思える。
雄介はそれが気になってしまったのか診察室のドアを開けると、待合室には数人の患者さんが居るのが目に入って来たようだ。
「気のせいな訳ないよなー? それとも、勉強のし過ぎで、幽霊が見えてしまってるって訳じゃあらへんよな?」
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