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ー信頼ー121
「あ、望……おはよう……」
「ん……あ、おはよう」
「って、朝から何キョロキョロしてんだ?」
「あ、え? あーと……雄介……は?」
そう小さな声で言う望。
「あ、雄介かぁ……」
その望の言葉で和也は気付いたのであろう。 和也もそう小さな声で漏らすのだ。
「あー! 雄介なら大丈夫だって! 絶対に帰って来るからよ!」
和也は望の事を慰めるかのように望の肩に手を置く。
「……って、その根拠は? 昨日から雄介は帰って来てないんだぞ! 何時間もあの嵐の中で海の中にいて、普通、助かる訳がねぇだろ……。 慰めなんかいらねぇよ……もう、雄介が帰って来ないのは分かってるからさ」
「じゃあ、聞くよ。 雄介が帰って来ない根拠っていうのは? 答える事が出来ないだろうな……。 今の望っていうのはさぁ、勢いで言っちまってるようなもんだし。 ってか、俺達が雄介の事を生きて帰って来るって信じなくてどうするんだよー。 きっと、今頃、雄介は望の為に生きて帰って来ようと必死なんだと思うぜ。 だから! 必ず雄介が帰って来るまで信じて待ってようぜ!」
「そうですよ!」
裕実も起きて来ていたようで今の話を聞いていたのであろう。 望の事を励ますように笑顔で言うのだ。
望はそんな裕実に対しては、やはり心を開いているようで裕実の言葉に笑みを溢し、
「何だか分からないんだけど……裕実の笑顔を見ると安心するのは何でなんだろうな。 まぁ、確かにそうだよな。 今は雄介の事を信じて待つしかないんだよな」
和也はその望の言葉に不服そうに感じながらも、望に笑顔が戻って来て安心したようだ。
と、その時、この静かな島にヘリコプターの羽音が聞こえて来る。 そしてすぐそこに着陸したようで、羽音がそれと同時に止まったようだ。 きっと、この島でヘリコプターが着陸出来そうな所というのは学校の校庭しかないのだから、ヘリコプターは校庭に着陸したのだろう。
「……ヘリコプター!?」
「どうしたんですかね? 今回の事故で幸いな事にドクターヘリを呼ぶような重傷者はいなかったと思うのですが……」
「そうだよな……ドクターヘリじゃ、無さそうだよな?」
和也とかが疑問に思っていると、体育館に続く扉が開き、カメラを持った人達が体育館内へと入って来た。
「あー、そういう事ね……カメラマンがいるって事はマスコミって事ね。 あれだけの事故があったんだから、そりゃあ来るわなぁ」
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