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第29話 高ぶる感情 4
これ以上はさすがに可哀想になり、俺はゆっくり身体を起こす。
「このまま挿れても平気そうだけど、少しローション足そうか」
「いい、もういいから!」
「よくない。ちょっと待ってゴム」
「いらない! そのままでいい」
「こら、駄目だって。焦らない」
口を引き結んで泣くのをこらえている雪近の顔にキスを落とすと、サイドテーブルに置いていたローションとゴムを掴んだ。ゴムをつけているあいだも、ローションをこぼすあいだも、雪近の目はまっすぐに俺を見つめる。あまりにもまっすぐなその視線に口元がにやけてしまう。
「正面からでいい?」
「大悟さんの顔が見ていたい」
「そう、じゃあ、挿れるぞ」
腰を抱えてゆっくりとぬかるんだ窄まりに熱を押しつける。大きく広がったそこは切っ先を少しずつ飲み込んでいく。さらに腰を進めれば、雪近は身体をのけ反らせてシーツを握った。はっはっと短く息を吐き、押し込まれる圧に耐える首筋に汗が伝う。
「大丈夫か?」
「や、っぱり、大悟さんの、大きい」
「さっきまじまじと見てたもんな。ほかのやつより?」
「いままでで、一番」
「そっか、じゃあ、ほかのと比べられないように、じっくり俺のを身体に覚えさせてやるから」
体重をかけて根元まで押し込むと、掠れた嬌声が上がる。最奥を何度もこすり上げ、喉を引きつらせる雪近を見下ろした。震える身体をこらえるように両手でシーツを掴み、腰をくねらせるその艶めかしい姿態は極上だ。ふつふつと湧き上がる興奮に毛が逆立つような感覚を覚える。
腰を引いて引き抜くと、それを拒むみたいに内側がうねった。それが堪らなくて焦れったいくらいゆっくりと抜き挿しを繰り返す。
「ああぁっ、ぅん、大悟、さん」
「雪、気持ちいい?」
「ぁっ、ん……いい、気持ちいい。もっと、もっとちょうだい」
「可愛い」
甘えた声でねだられると悪い気がしない。少し抉るみたいに中をかき回せば、こらえきれなくなった雪近の声が耳に心地いいくらい響く。それをさらに誘うように激しく揺さぶると、甘ったるい声が俺に縋りついた。背中を抱き込む腕をそのままに、胸元に身体を引き寄せる。
「雪、こっち向いて」
惚けた顔をする雪近の耳元に囁きかけると、それだけでも肩を震わせた。こめかみや頬に口づけ、半開きになった唇を塞げば、くぐもった小さな声がこぼれる。
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