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第30話 高ぶる感情 5

 それでも舌を差し入れると、一生懸命に応えようと舌を絡めてきた。熱くなった口内を優しく撫で、舌をざらざらとこすれ合わせる。  口の中に溜まった唾液を飲み下して喉が上下する、そんな仕草だけでも熱が高まった。首筋に噛みつきながら下から突き上げれば、しがみつく腕の力が強くなる。 「だ、いご、さん、もう駄目、イキそう」 「いいよ。何回でもイかせてやる」 「んんっ、そこ、もっと、して」  背中をかき抱く指先にギリギリと力が込められる。ヒリヒリとした痛みを感じるけど、その痛みがまた堪らない気分にさせられた。夢中になっている雪近は必死にしがみつきながら、浅ましいほどに腰を振る。その快感を追い詰めるように律動を合わせれば、抱きしめた身体がぶるりと震え、あいだでこすれていた雪近の熱から白濁があふれた。 「まだ、休んじゃ駄目だぞ」 「ま、待って」 「待たない。俺、まだイってない」 「あっ、や、待って!」  まだ快感の余韻に浸る身体を揺さぶると、吐き出したばかりの熱がまた芯を持ち始める。腰を掴んでガツガツと奥を舐れば、雪近はボロボロと涙をこぼしながら喘いだ。イったばかりの身体では声をこらえることができないのか、ひっきりなしに甘やかな声が吐き出された。その声を聞いていると感覚が麻痺してくる。  身体は昂ぶり熱くなるのに、頭はやけに冷静で。どうやったらもっと雪近を啼かせられるかと考えてしまう。 「大悟さんっ、駄目、駄目、またすぐ、イっちゃうからっ」 「雪、空っぽになるくらい、しようか」 「ああっん、や、駄目」  しがみつく身体をベッドに押し倒して、脚を抱え上げて張り詰める熱を突き立てた。抵抗する余裕もない雪近はガクガクと揺さぶれて、もう半分くらい意識が飛びかかっている。それでも食らい尽くす勢いで攻め立てれば、今度は吐き出さずにびくんと大きく身体を震わせた。そして一際強く中がうねって、それに引き絞られるように俺はゴムに熱を吐き出した。  その瞬間ひどい倦怠感が襲ってくるが、こちらに向けられる視線に気がつき口の端を上げる。そっと手を伸ばして、乱れた黒髪を梳くと上気して赤くなった頬を優しく撫でた。唇を指先でなぞれば、小さくその先に吸い付いてくる。それが可愛くて、俺は身を屈めて柔らかな唇に口づけた。

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