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噂話について3

「はーい、おはよう、ゆうやん!」 「………何か用ですか、吉根(きちね)先輩。」 「そんなん、決まってるじゃない?今日こそ、有川くんとのこと吐いてもらうからね〜!」 朝から(バカみたいに)ハイテンションな茶髪先輩は、吉根優吾という、出版部の2年生だ。それこそ毎日のように教室に来ては、有川とのことについて、しつこいくらいに聞いてくる、非常に厄介な存在である。 「だから、いつも言ってるじゃないですか。その噂はデマだって。第一、俺は有川と一度も話したことがないんですよ?それにどっちも男だし。」 「男同士なんて今どきザラにあるし、そんな頭の硬いこと言ってたら、この先やってけないよ〜、ゆうやん。」 「てか、その『ゆうやん』ってやつやめてくださいよ!なんですかそれ。」 「いいじゃーん。俺とゆうやんの仲だろ〜」 「何も良くないしっ…!腰を抱かないでくださいよ!」 「そーですよ、吉根先輩。有川に嫉妬されますよ。」 「おい、恵介。お前は黙ってろ!」 突如話に参戦してきたバカは伊藤恵介だ。背は平均よりも低いが、運動神経は抜群だ。あとバカ。それに尽きる。本当にバカ。 「あー、有川に嫉妬されたら大変そうだな〜。うん、ごめんね、ゆうやん」 ぱっと腕が離れる。なんだこの聞き分けの良さは。いつもは何を言われてもベタベタ触ってくるくせに。……何かあるな。 「あっそーだった!忘れてた〜!!テヘペロ」 舌を少し出して、ウィンクをしながら「テヘペロ」なんて言う先輩は、正直言って普通に変だった。別に顔は悪くない先輩だが、白々しすぎる。絶対に忘れてなかったやつだ。 「ゆうやん、今日のお昼にお弁当持って、小会議室に来て〜。」 「は?」 「ちょ、睨まない睨まない。これでも俺先輩よ〜?……もうさ、どっちも真実を話してくれないから、」 「いや、話してますよ。先輩含め、周りが信じないだけで。」 「だから合同インタビューをすることにしたんだよ」 「ん?え、それ決定なんですか。」 「もう特集組む予定だし、絶対に来てよね。これ伝えに来ただけだから。ばいば〜い」 先輩はそう言い残すと、足早に自分の教室へ戻ってしまった。 いやいやいや、当人無視して勝手に決めるか、ふつー?俺が委員会とか部活とかで空いてなかったらどうするんだよ。まあ、何にも所属してないからいいけど…。 「あー、もう!面倒くさい」 「なあ優也。俺もう喋っていい?」 「もうちょいお前は黙ってろ!」

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