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対策について3
「いらっしゃいませー。3名様ですね?こちらでーす」
若いウェイトレスのおねーさんに連れてかれ、俺達は窓際の席についた。恵介の横に佐々木くん、その向かいに俺が座ってる。多分気を利かせた佐々木くんが恵介の隣に座ってくれたんだと思う。感謝しかない。
一応、飲み物を1つずつ頼んでおいた。時間も時間だから、何かを食べる気分にはならない。
「それで、どうしたの、東峰くん?」
「えっとさ、俺が有川と付き合ってるっていう噂が流れてるじゃん?あれ、嘘なんだよね…」
「ええええええ?!」
「ちょ、恵介くん、声大きいって」
「あっ、驚いちゃって、つい…」
「驚くも何も前から言ってるだろうが」
チュウっと、頼んだメロンソーダを一口のむ。別に今まで嘘をついていたわけでもないのに、なんでこんなに緊張するのか……。
「まあでもびっくりしたよ。僕もその話は本当だと思ってたから。」
「え、佐々木くんも…?」
「うん。ていうか、内部の生徒は信じてる人が多いと思う。えっと、これ見て…」
そう言って佐々木くんが見せてくれたLINeのグループトーク画面には『【悲報】有川と、外部で入ってきた東峰は付き合ってるらしい。』の文字が。
「有川くんは、中等部のときから絶大な人気を誇っていたから、よく告白をされてたんだけど、『付き合ってる人がいるから』って断ってたらしいくて。だからこそこの話に色んな人が食いついたんだと思う。実際に東峰くんは、今まで有川くんに告白してきた子たちとは雰囲気が違ったから。」
「なるほど……。」
「あれー、俺に流れてきたのとちょっと違う。俺のはね、えっと、あ、これこれ」
恵介の見せてくれた画面には『【速報】有川が外部の東峰にゾッコン!?噂の恋人登場か!』と、週刊誌風に書かれたメッセージが。
「ゾッコンって……」
「書いた人は……別の人みたいだね?」
「メッセージが送られたのは……入学式の日?」
「時間的には、放課後だね。」
「だから次の日誰も話しかけてくれなかったんだ……。うっ……」
「俺は話しかけたじゃん!」
「……そーだったっけ?」
「ひどっ!」
「ともかく!!このメッセージを送った人に、誰から聞いたのか?聞いてくれないかな?実はさ……」
俺は今日の昼の出来事をかいつまんで話した。もちろん、俺が泣いたことは話していないけど。
「付き合ってない証拠……ね。」
「難しいな〜〜」
「なんかいい方法ないかな?俺だけじゃ無理そうで」
「んー、一回、有川クラブのメンバーの子に、有川くんが何か東峰くんや恋人に関することを言ってないか聞いてみるね?」
「うん、お願い………って、その有川クラブって?ファンクラブみたいな?」
「まあ、そんな感じかな?有川くんのちょっとした発言から行動まで把握する、変わった集団だよ。」
「いや、それストーカー集団って言うんじゃ…」
「一応学校に有川くんがいるときしかやらないっえ言ってたから、アウトよりのセーフなんじゃない?」
「アウトじゃないんだ…」
佐々木くんもまともじゃなかったりしないよな………?と不思議に思いながらも、俺達は有川クラブの返事を待つことにした。
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