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第5話

「ごめん、悪かった。全部俺が悪いんだ。未樹は何にも悪くない。昨日、未樹に好きな奴がいるって聞いて、嫉妬して、訳わかんなくなって逃げ出した。…俺、未樹が好きだ。初めて会った時から、ずっとずっと好きだった」 「え……高志、」 「でも信じて。俺は未樹の嫌がる事はしない。だからお願い。これからも友達でいて。お前をちゃんと諦められるように努力するから」 ずっと言えなかった事が、今は素直に口から零れた。 未樹に好きな人がいるのなら、それでいい。 応援は出来ないけど、傍にいさせてくれるなら、どんな形であってもずっと未樹の傍にいたい。 「高志っ、あの」 「あぁ、悪い。もう抱きついたりしない。安易に触れたりもしないし、誤解させるような行動も取らないから…」 「もうっ、だったらちゃんと俺の話聞いてよっ」 俺が離れようとすると、未樹は強めの声を発し、俺の服をギュッと掴んだ。 「俺も、誤解させるような言い方っていうか…ズルイ言い方して悪かった。俺もずっと、高志が好きだったよ。なんとなく気付いてた、高志の気持ち…だって俺にだけ物凄く優しくて、いつも俺の事見てるから、もしかしてって何度か思ってるうちに、だんだん意識し始めて…。だから、昨日の夜に高志に確認が出来て安心したんだ。あの後、告白しようって思ってたんだよ」 「え、え、ええ?」 俺は激しく狼狽する。 未樹に気持ちがバレてただなんて小恥ずかしいけど。未樹の好きな奴って…俺? 昨日の質問っていうのは、好きな人に誰にも言えない秘密があっても気にならないかってやつか。 って事は未樹には何か秘密があるって事?いや、その前に。 「ちょっと待てよ!未樹ってゲイだったの?」 「違うよ。高志にだけだよ…」 「マジですか…」 こんな奇跡があっていいものか。 「……でも俺、全部をさらけ出す勇気が無くて。それでも、好きでいてくれる?」 未樹はそう言い、唇をキュッと一文字に結んで、真剣な表情で俺を見据える。 そんなの誰だって一緒だろう。 大切な人だからこそ、言えない事だってある。 もし拒絶されたらと思うと怖くなるのは俺も一緒だ。未樹が言いたくないんだったらそれを尊重するし、話したいって思う日が来たら話せばいい。 「勿論。俺はどんな未樹だって好きだよ」 「…本当?」 「お前、何でそんなに自信無いんだよ。俺を信じろよ」 「…うん。ごめん」 「あぁ、その顔反則。悪いけど、両思いだって分かったら俺はもう遠慮しねーぞ」 未樹の後頭部に手を回し、その薄い唇にそっと触れるだけのキスをする。 唇を離して目を開けると、羞恥でいっぱいになっている未樹がいて。興奮して、もう理性なんて抑えてられなかった。

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