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11.金曜日、本当の姿※
あっという間に週末になってしまった。速水からは朝食中に、今日は真っ直ぐ家に帰ること、とまるで子供のように注意された。そんな風に言われなくても、そもそも行く気はない。あのバーのメニューより速水の手料理の方が断然美味しいから……って何言ってるんだ、俺。
そういえばこの5日間、お試し期間の割にはあまり状況は変わっていない。変わったことといえば、速水がちょっといじわるをするようになったのと、昼休みデートをするようになったの2つぐらいだろうか。……やはり、速水も可愛い子ちゃんとあまり変わらないのだろうな。
今日もぼんやり過ごし、昼休みデートもした。(ちなみに今日は屋上だった。閉まっているようだったが、生徒会長特権とやらで鍵を開けてみせた、すごい)放課後になった今、俺は保健委員長に全てを託して帰路に着く。今日は速水と一緒に帰ることになっている。
わざわざ靴を上履きと入れ違いに下駄箱から持ってきた速水は、俺と一緒に職員・来賓用玄関から出る。あまり職員のいない時間だからよいものの、厳しい先生が見ていたら怒られただろう。
「わざわざ何で一緒に……」
「目を離したら逃げられかねませんし、それに……一緒にいたいじゃないですか。ね? 」
「いやいや、俺は逃げねえから」
「──ほら、早く帰りましょう」
「あ、ちょ……! 」
いくら生徒の使わない玄関と言えども、外に出れば他の生徒に遭遇する。だというのに、速水は手を繋いできた。しかも、恋人繋ぎ、というやつだ。──今、すれ違った女子生徒があからさまに困惑した表情を見せた。そりゃそうだ。
速水はぐいぐいと引っ張って歩く。だから、ろくに会話もせずにマンションにたどり着く。エレベーター内でも手は離してもらえず、部屋に入ってからやっと離された。荷物を置き、一息をつこうとソファに向かう。……速水はなぜか黙っている。俺がソファに座ると、速水はやっと口を開いた。
「──5日間、付き合ってくれてありがとうございました。先生が嫌だと言うなら、もう顔は見せません」
「速水……」
「最後まで名前で呼んでくれないんですね。冷たい人だなあ」
どうやら速水は土日はお試し期間に含む気は無いようだ。そうか、今日が終わったら俺達はもう……。でも、なんかちょっと寂しいような──。
(あれ、まさか俺……? )
速水とは先週の月曜日に知り合ったばかりだ。こんなに早く感情の変化が現れるのは2年振り。……もっとも、その時は一目惚れしたものの、相手が妻子持ちだったから早々に諦めたが。
その後に知り合った可愛い子ちゃんとはあまり会話をせずに、セックスだけを単純に楽しむことが多い。だから、恋愛感情とはすっかり縁遠くなっていた。
速水とはせいぜいキス止まりだが、キスをする度に速水にほ、ほ、惚れているような気が……。それに、何より食事が最高に美味い。完璧な条件だ。
(いやでも……相手は生徒だ……今さら返事したところで──)
そうだ、名前呼びをまだしていなかった。最後にそれを……。
「……健二」
「先生──」
「──っ! 」
速水が望んでいた名前呼びで呼んであげると、速水はこちらを振り向いた。しかも、あの笑顔で。俺はその笑顔に赤面してしまう。
──ああ、俺はきっと、健二のことが好きなんだろうな。多分だけど。
「健二、その、俺は……別に、お前を嫌ってはないし、居心地がいいとも感じてる。だから、その……」
「先生、どっち付かずは嫌です。はっきり言ってくださいよ」
「──俺は、健二が、……」
「ああもう! じれったいな! 」
健二は笑顔を崩し、怖い顔つきで俺の腕を掴む。すると、俺を立ち上がらせた。
「ソファじゃあれですし、ベッド行きましょうか」
「はあ!? 」
「好きって言うのが恥ずかしいみたいなので、素直にさせてあげます」
「いやいや、待て待て! お前、男同士だぞ!? 分かるのか!? 」
「ええ、まあ。調べましたし……準備はばっちりです」
にこりと口だけが微笑み、俺をベッドまでつれていく。……ああ、これはマジだ。
覚悟を決め、健二についていく。客間に着くなり、ベッドに押し倒される。
「お前が上なのか……」
「当たり前でしょう? 」
健二は俺の服をゆっくりと脱がせていく。俺は体つきがいい方ではないが、健二は何が気に入ったのか時折うっとりとしている。
約2年振りのネコということで、どうしても多少の緊張感がある。しかも相手は未経験だ。本当に大丈夫なのか、と。
だがそんなのは杞憂なようだ。いつものあの深いキスを俺にしながら、健二は俺の胸の突起をいじりだした。──かなり気持ちいい。
(こいつ本当に未経験かよ!? )
心の中で突っ込みを入れる。
声が抑えきれないほど気持ちよくなってきた頃、健二は一旦手を離し、ベッドサイドの棚からローションを取り出した。用意周到過ぎやしないか。
そのローションを指に塗りたくり、後孔を解すべく入れる。しかも──いきなり3本入れてきやがった。
「ちょ、きつ……せめて、2本──」
「嫌です」
健二はきっぱり断り、指を出し入れする。時折中でバラバラに動かしており、とても気持ちいい。
「あ、……っ! 」
「──もうそろそろいいですかね」
もうすぐイってしまうかと思ったその時、健二はいきなり指を抜く。そして次に健二は立派に勃っている自身を入れてきた。まるで中をえぐるかのように容赦なく激しく動き、俺はすぐにイってしまった。
「あ、や、ちょ、も、もうちょっと、ゆっくり……! 」
「出来るわけないでしょう」
しばらく激しく動いたかと思ったら、健二は中でイった。ああ、やっと解放される──。そう思ったが、健二は一旦穴から自身を出すと、俺をうつ伏せにした。……いや待て、まさか。
「お、おい……まだヤる気か? 」
「もちろんです。次はこの体勢でやりましょう! 」
この後高校生の体力は恐ろしいものだと、嫌でも思い知らされることとなった──。
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