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唇を重ね佳孝を黙らせると、掌が浴衣を脱がすように這っていく。少し寒くて身を震わせると、「寒い?」と囁かれた。
「……少し」
「すぐに温めてあげるよ」
佳孝が覆いかぶさり、首筋に唇が落とされる。佳孝の指が胸の突起を押し上げ、理津は小さく吐息を零す。
あらゆる場所に佳孝の掌が触れていき、全身に熱い血が巡るのを感じた。ゆっくりとした掌の感触と濡れた舌先。外からは物音一つせず、上ずった吐息と濡れた音だけが耳に触れる。
「あっ……はやく」
丁寧な愛撫より、佳孝自身が欲しい――
誘うように足を開き、濡れた視界で佳孝を見つめる。
「ちゃんとほぐさないと、痛いよ」
佳孝の指先が後孔に触れる。ゆっくりと指を差し込むと、佳孝が目を見開いた。
「……早く、ほしい」
理津は泣きそうな声で訴えた。
シャワーを浴びた時に、自分で準備していた。明日には帰ってしまう佳孝と早く一つになりたかった。
女みたいに、自然と潤うことができたのなら――
佳孝が慎重に、理津の身体の準備をする必要などなくなる。すぐに受け入れて、互いを求め合うことができないのが歯がゆかった。
「理津……」
痛ましいものを見るような表情で、佳孝は理津を見下ろしてくる。足を抱え込まれると、押し開くような強い圧迫感が襲いかかった。
「大丈夫?」
伺うような佳孝の言葉に、閉じていた目を開く。痛みで滲んだ涙が頬を滑る。
「……うん」
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