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 一年ぶりともなれば、慣れないセックスは更に苦しいものだった。強がりを言って、佳孝の頬を掴むと唇を重ねた。何度も何度も舌を深く絡ませていく。  佳孝の劣情を引き出すように、余計な思考を抱かせないようにと―― 「無理しちゃだめだよ。本当は辛いんじゃないのか?」  佳孝の親指が頬を撫で、濡れた感触が広がった。  それでも理津は首を横に振る。辛いのは痛いからじゃない。焦燥感が先行し、嫉妬が胸を占め、絶望感が込み上げる。どうしようもなく好きで、離れたくなくて、それなのにどうしたら良いか分からない。  理津はギュッと佳孝の背に腕を回し、腰を自ら落とし込んでいく。  ピリピリとした痛みが一気に押し寄せ、思わず歯を食いしばった。 「うっ――」  佳孝が低く呻く。なんとか根本まで収まると、一息吐いたのち、慎重に揺さぶられる。 「あっ……あっ……」  痛みから徐々に快楽が生まれる。佳孝の荒い息遣いを耳元で感じつつ、理津は必死で佳孝の与えてくれる快楽に身を委ねた。 「理津……理津……」  名前を何度も呼ばれる。錯覚してしまいそうになる。自分だけのものだと。  自分の名を呼んでいていも、本当に愛しているのは自分じゃない。脳裏に何度か顔を合わせた、清潔感の溢れた優しげな表情の香苗の顔が過った。  途端に強烈な嫉妬心が、胸を黒く染めていく。

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