5 / 10

05

「だからって、なんで制服のまんまで……って変態だろ、あんた!」 「『あんた』じゃない。『東城先生』 だろ?」  勝手に俺の親父と交渉しやがって。一晩、大切に預かりますって。おかしいだろ。二ノ宮とも話をして、なんでだか意気投合してやがったし。最後なんて、二人で酒まで飲み交わしてやがった。  で、結果がコレだよ。  本人の意思関係なく、先生にお持ち帰りされるって。おかしいっつうの。  しかも家にあがるなり、お姫様抱っこで寝室までご案内って。どんだけ、がっついてるんだっての。俺は女じゃねえ。 「足を開いて」 「誰が開くかよ」 「さっきは開いてたのに? パンツに染みまでつくって」 「あんたが勝手にベロベロと舐めてきたからだろ」  俺の上にいる東城先生は、スーツの上着を投げ捨て、ネクタイを緩めるとニヤリと口を緩めて笑う。勝ち誇った顔が、無性に腹が立つのは、俺が同じ男だからにちがいない。同性なのに、恰好いいじゃねえかって思う自分に腹が立つんだ。  男の俺が、男の東城先生に組み敷かれている。力で勝てそうもないし。体格が違いすぎる。  先生はがっちりしてる。俺は細身だ。女モノの服だって、女のサイズですんなり入っちまうんだから。 「和泉、好きだよ」 「嘘つけ」  俺の頬を両手で優しく包み込んで、先生が呟く。切なそうな顔に見えるのはきっと、ベッドの横にある温白色の電球のせいだろう。 「嘘じゃない。好きなんだ」 「……ひゃ」と首筋にキスをされて、俺は声をあげた。  なんだ? ぞくぞくする。キスすんな。身体の力が抜けるじゃないか。 「んやぁ。ああぁん」 「可愛い声、もっと聴かせて。和泉」 「やめっ……俺はノンケだ!」 「知ってる」

ともだちにシェアしよう!