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「新しいのを用意した」  制服で店に入ってきた俺の眼前に、二ノ宮が新しいセーラー服を突き出してきた。 「あ?」と俺は苦虫を噛み潰した顔をしてやる。  なんでまたセーラー服なんだよ。 「昨日、夜な夜な新しいのを探してたよ。午後の予定を組みなおして、車飛ばして買いにいったみたい」  親父が料理の仕込みをしながら、苦笑していた。 「はあ? セーラー服のために?」 「東城さん、好きなんだろ?」  どいつもこいつも。なんなんだ。呆れて言葉も出ねえよ。 「俺のセーラー服姿が好きだと、変態野郎が言ってたな」 「新しい下着とあとシールのタトゥも」 「ああ?」 「内腿にシールタトゥ。足を広げた時に見えると、萌えるだろ? 自分だけが知っているシルシで」 「萌えなくていい。むしろ燃えて灰になっちまえ」 「イズミちゃんは可愛いね」  二ノ宮がにっこりと笑う。  意味がわからねえ。どこが? 俺は男だ。男の俺が可愛い? おかしいだろうが。 「親父もなんか文句言えよ。俺が男の餌食になるんだぞ?」 「ん? なに? 聞いてなかった」  お通しのもつ煮込みの鍋に顔を突っ込んでいた親父が、ぽかんとした表情でこっちを見た。 「もういい! 着てくりゃいいんだろうが」  俺は荒々しく今日の制服一式を二ノ宮から奪った。 「なんだかんだ文句言いながらも、イズミちゃんはシテくれるから。東城さんが好きなんだね」 「はあ? バカじゃねえの? 仕事だから。時給のため。店のため。以上!」

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