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「てかさ。バーのお通しがもつ煮って……どうなんだよ」 「美味しいけど?」  何が不満なの? と言わんばかりの顔で、東城が小首を傾げた。 「はあ」と俺は息を吐き出して、別になんでもいいけど、と付け加えた。こいつらは、お通しが何であろうが気にしないのだろう。好みのヤツとイチャつければ、胃の中に何が入ろうが。  東城だって、俺が制服だってわかるなり顔を緩みっぱなしだ。もつ煮を食べながら、俺の太ももを触ってエロ親父的行為満開だ。 「今夜もお持ち帰りしていいって」 「誰が言った?」 「保護者二人から」  東城が嬉しそうに笑ったのを見てから、カウンターの向こう側にいる親父とそれを手伝っている二ノ宮に視線を動かした。  二ノ宮がニヤッと笑ってから、親指を立てる。東城も応えて親指を立てた。 「なんて保護者だ」 「協力的で実に良い保護者だ」 「どこがだよ!」  おかしいだろ。普通は道を外さないようにするのが親だろ。わざわざ男に抱かれるのを許可する親って。  そもそも俺んちは普通じゃねえから。理解がある家って言えば、そうなんだろうけど。だけどな。俺は、ホモじゃねえっての。 「和泉の乱れる姿、早く見たい」  耳元で囁いて、東城はコリっと耳を甘噛みした。俺はぶるっと快感で震えると、東城の額を押した。

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