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第2話 色の無い世界。

地元を離れて彼此数年経つというのに何故急に思い出してしまったんだろう。 ああ。今朝テレビで観た映像があの海に似ていたからか。。 ーあ。又だ。。ー 耳鳴りと共に急に視野が狭くなっていくのを感じ、そっと瞼を閉じる。 深く呼吸をし、1.2.3……心の中でゆっくりと呟く…8.9.10 再び瞼を上げると別の時間が流れ始める。 先程迄とは違う。色の無い、モノクロの世界が俺を包み込む。 両親が他界してから時折訪れるようになった現象。病院で検査した結果《ストレスによる心因性視覚障害》と診断された。殆どの場合、1年程で症状が改善するとの事だったが、稀に改善まで長期間を要したり、再発を繰り返す事も有る。 どうやら俺は後者らしい。 都会の喧騒の中、1人の男が歩みを止めたとて、気に留める人など皆無だ。 ーそう。只1人を除いては。。ー 胸ポケットが震え携帯電話を取り出し通話を押すと、耳心地の良い声が聞こえて来た。 『瑛太。まだ外か?』 「……うん。もう少ししたら帰る。」

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