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第8話 俺だけ?
『はぁ〜〜〜っ。。』
ゼミの授業を受け終え、資料を纏める為ファミレスへと向かう道すがら、 絢也は幾度も溜め息を吐いていた。
初めの内はスルーしていた拓弥と杏菜だったが、余りの落ち込み様に渋々声を掛ける。
「ねえ。静海まだ凹んでんの?そりゃあ、実家に泊まるってなったら合宿気分は薄れるかも知れないけど、地元の海を調査出来るのよ。考え様によっちゃあ良い経験だと思うけど。」
「そうだぞ、絢也。俺だって民宿に泊まるのを楽しみにしてたのに、宿泊先がお前の実家とか有り得ない状況を受け入れようとしてるんだぞ。元気だせよ。」
2人に肩を叩かれ慰められるも、絢也は深い溜め息と共に首をゆっくりと横に振った。
『はぁ。。。お前ら何も分かっちゃいないな。地元じゃ何の意味も無いんだ。』
「「意味が無いって?」」
『良いか?地元だぞ?田舎だぞ?知らない土地で一夏の出逢いとか、嬉し恥ずかし初体験を期待していた俺のこの胸の高鳴りはどうしてくれるんだ。』
「「。。。」」
嘆く絢也を見つめながら、2人の表情が無へと変化していく。
『まぁ、お前らに俺の深い悲しみは理解出来ないか。』
「いや。アンタの胸の高鳴りなんて興味無いし、深い悲しみとか知らんし。そもそも調査合宿に童貞の必死さ持ち込まれても。」
『童貞、童貞って煩えよ処女!俺だけじゃね〜し、拓弥だって童貞だし。』
「え?俺、何で巻き込まれてんの?しかも勝手に決めつけるなよ。俺童貞じゃねーし。」
『。。。え?』
「私も処女じゃないけど。」
『。。。はい?』
「杏菜、早くファミレス行こうぜ。喉乾いた。」
「そうね。こんなお子ちゃまは放っておいて早く行きましょ。」
え?ちょっと待って。。
2人共経験済み?既に大人の階段登ったの?
お子ちゃまなのは…俺だけ〜〜〜?!
『2人共待ってーー!俺を置いて行かないでーーー!!』
既に大分前を歩いている2人に追い付こうと、絢也は必死の形相を浮かべて走りだした。
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