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第6話

こんなクリスマスは小学生以来だ。 そう思いながら、柄にもなく部屋に飾り付けをしている。壁一面をクリスマス仕様に飾った。 昨日下ごしらえをしたものを調理し、何度も時計を見ては帰ってくる時間を確認する。 出発したと正午前に連絡があった。何もなければ夕方には帰ってくるはず… 最近はバス事故をよく耳にする。なんだか嫌な予感がしてテレビの前に座った。 平和そうな街並みがクリスマスの色に飾られてイルミネーションが綺麗な色を醸し出している。 速報やニュースらしきものはない。 …渋滞は?…スマホを取り出し渋滞情報を検索してみるがそんな情報はなかった。 (友達と喋ってるのかも…) そんな事を思いながら綺麗なイルミネーションをぼんやり眺めていた。 (来年は…こういうのを見に行ってもいいな…) キラキラと瞳を輝かせ、尚之が喜ぶ光景が目に浮かぶ。付き合って8年も経つが二人で遠出をした事がない。 近場ばかりでデートらしきことはした事がなかった。 外を歩けば手を繋ぐこともできない。それを尚之は嫌だと言ったからだ。 『透さんが側にいるのに触れないのは辛いです…家でゆっくりしてるほうがいい。いつだって透さんに触ってられるから…』 そんな可愛いことをさらりと言ってのける尚之は無自覚に俺を煽る。 なら、そうしようと家にこもる事が多かった。 転勤の間さえ、最小限しか出かけていない。自宅で仕事をしているのもあるが、この部屋が好きだからと言ってのける。 (その顔が堪んなく可愛んだよな…) ソファに置いてある訳の分からないキャラクターのクッションを抱きしめる。尚之が良く抱えているのを思い出したからだ。 (あ…尚之の匂いがする…) まるで尚之を抱きしめるかのように思いっきりそれに顔を埋め、その匂いを嗅いだ。 (ああ…尚之を抱きしめてるみたいだ…) 尚之を欲する身体は中心が反応しそうなほどその香りに欲情する。 (堪んないな…) そんなことを思いながらクンクンと鼻を鳴らす勢いで匂いを身体に取り込もうとした。 「…透さん…」 幻覚まで聞こえるくらい尚之に焦がれているのかと思いきや… リビングのドアを開け、唖然とした表情で尚之はこちらを見ていた。 クッションを抱きしめ匂いを嗅いでいる透を『何してんの?信じらんない!』とでも言いたげに大きな瞳を更に見開いている。 「透さん、どうしたの?クッション抱きしめて…」 憐れむような声に、尚之を求めて嗅いで欲情してましたとも言えない透は、耳まで真っ赤に染める。 どう言い訳しようかとアタフタしている透のそばに駆け寄った尚之は、クッションを抱え込んだその身体を抱きしめた。 「どうしたの?寂しかった?」 芯まで冷えていそうな外気を纏う尚之は透の肩に顔を埋めた。 「透さんが帰ってきたときの…僕みたいだね…」 クスクスと笑う。 あれは…寂しさを紛らわすためにバニー姿でゲームをしていたんだろう…と言いかけてやめた。 寂しさを紛らわすために…尚之を感じたくてクッションの僅かな香りを嗅いでいた。 紛らわしてるのは一緒か…

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