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【6】
甘い匂いが立ち込めていた寝所とはまるで違う。湿り気を帯びた藁と土の臭いに目を冷ました弥白は、体中の痛みに顔を顰めた。
目を開いていても視界が揺れ、焦点が定まらない。
喉の奥がヒリつくのは、許しを乞うために上げた声か……それとも。
まるで自分のモノではないような体の感覚。それは朧げな記憶と舌に残る媚薬の甘さ。
細かい藁クズが散らかった硬い黒土の上で白い体をゆっくりと動かしながら、建て付けの悪い木戸の隙間から入り込んでくる夜風にその身を震わせた。
「まだ、生きているのか……」
忌々しげに舌打ちし、気怠げに上体を起すと、土埃に塗れた白い着物を掴み寄せて、それを乱暴に肩から羽織った。
臍の辺りに溜まっていた白い粘度のある液体が平坦な腹を伝い、着物を汚した。
灰英が用意してくれる着物は薄くはあったが肌触りがよく、弥白も着慣れれば悪くないと思っていた。
その着物は今、泥と異臭を放つ体液で汚れ、それを身に付けている弥白もまた、彼に顔向け出来ない状況にあった。
どのくらいの時間、ここで意識を失っていたのかなんて分からない。
そもそも、この納屋のような建物に、自分がどうしているのかも分からなかった。
明かりもない、柱に板を打ち付けてあるだけの小屋。屋根があるだけマシだと思った方がいいほど、お世辞でも快適な場所とは言えない。
柔らかな布団の中で微睡みながら、ずっと好きだった灰英と想いを通わせた喜びと、蛇神へと嫁ぐ前日に体を繋げてしまうという不貞を犯した罪悪感と恐怖を交互に味わっていた。
中に注がれた彼の精液が、寝返った拍子に後孔から溢れ出すのを感じるたびに、体の奥がズクリと甘く疼いた。
はしたなくも、彼に与えられる快楽に溺れていたいと願った。それが、蛇神の怒りをかって修羅の道になろうとも構わない――そう思った。
しかし、現実は非情にも弥白に天罰を与えた。
「生きていちゃいけない……。俺は生きることを許されない花嫁だ」
水越が話していた行方不明になった花嫁のことを思い出す。幾人もの花嫁がこの世界の――いや、神々が集う別の世界で、蛇神の加護のもとに今までとはまるで違う人生を歩んでいるとしたら……。
自分も、もしかしたら幸せになれるのかも――一瞬でもそう思ったことは否定しない。
だが、弥白の目の前でその眩い世界への扉は閉ざされた。
両膝を曲げて立ち上がろうと手をついた瞬間、ゴプッと音を立てて尻の間から大量の白濁が流れ出した。
湿った土の上に糸を引きながら溜まったそれは、いくらか朱が混じっていた。
つるりとした下肢に恐る恐る手を伸ばしてみる。
萎えているはずの自身のペニスは淫らにも蜜で茎を濡らし、触れただけで芯を持ち始めていた。
「どこまで俺を苦しめれば気が済むんだ……」
最愛の男、灰英への一途な想い。そして……弥白の奥底から清水のように沸き上がる、懐かしく美しい清らかな想い。それが誰に向けられたものなのか――弥白は薄れる意識の中でハッキリと確信した。
自分の中にいる、もう一人の自分。
彼が求めてやまないのは――ずっと昔に離れ離れになった最愛の伴侶。
でも、彼を愛するがゆえに自分が捧げたのは疑念と裏切り。そして、命を失ってもなお抱き続けた罪悪感。
真実を見極めたばかりに、彼に何も告げることなく闇へと身を投じた。
荒れ狂う山河。山に響き渡る地鳴りが彼の嘆きに聞こえ、何度も耳を塞いだ。
『――悲劇は繰り返される。そして私は、永遠に貴方に逢うことは叶わない』
逢いたいと願いながらも、自身の犯した罪の重さにその願いさえも否定する。
次々に溢れ出る涙に弥白は驚いた。
その涙は血のように赤く、そして何よりも悲しかった。
着物の前をかき合わせ、嗚咽を堪えながら肩を震わせる。
(誰のために泣いてる? 俺自身? それとも――愛する男?)
「誰か……。た、助けて……。灰英……っ」
誰も来ないことは分かっている。でも、弥白はそう声を出さずにはいられなかった。
そう言うなり勢いよく立ち上がると納屋の木戸の取手に手をかけて、何かを吐き出すように苦しげにもう一人の男の名を呼びながら、扉に縋るように崩れ落ちた。
「許して……愚かな私を。――黒芭」
*****
どこをどう歩いたのか覚えていない。傷だらけの脚を引き摺りながら、弥白は何度も逃げ出したいと思った。それでも自然と足の赴くままに体を任せていた。
白い玉砂利が傷ついた足の裏を包み込むようで心地いい。シャリシャリと音を立てながら、苔生した巨岩の前で足を止めた。
周囲に張り巡らされた注連縄に付けられた紙垂が夜風に揺れる。
見上げた空は暗く、夜明けまでまだ時間があることを知った。
「――ごめんなさい」
この岩に封じられた黒蛇に謝るかのように、弥白は頭を落としたまま小さく呟いた。
蛇神が望む花嫁にはなれなかった。一度でも快楽を知ってしまったこの体は抗うことなく男を受け入れる。
淫らで不貞をはたらくような花嫁など、蛇神の腹の足しにもならないだろう。
いっそのこと、正幸に殺してもらえば良かった。そうすれば、すべてを知ることなくいられたのに……。
汚れた着物の襟元をギュッと握りしめた弥白は、静寂を守る洞窟の前を通り、本殿の裏にある滝へと向かった。
人の気配もなく、宵祭りの夜とは思えない静けさに包まれた境内を横切り、弥白は沐浴と同じように鳥居をくぐり、張り出した岩場に手を付きながら滝壺へと降りた。
生えた苔に足を取られながらもいつもの場所に立つと、頭上から落ちてくる清水にそっと目を閉じた。
山から流れ出る冷えた水が、まるで弥白を責めるかのように体中についた傷に沁る。
正幸たちの精液で汚れた着物が肌に張り付き、弥白は眉を寄せたまま唇を噛んだ。
記憶に蘇る男たちの匂いが再び恐怖を呼び、弥白の細い肩をわずかに震わせた。
「――なさい。ごめん……な、さい」
水に打たれ俯いたまま、弥白は喉の奥で何度も赦しを乞うた。
愛する男への懺悔。そして――こんな人間として生まれてきた自分自身への謝罪。
弥白の中のもう一人の存在。彼の声が弥白の中で大きく響いていた。
体の奥底から湧きあがる熱。その熱が淡い光となって弥白を包み込んだ。
それまで自身を苦しめていた罪の意識。それが流れ落ちる滝の中に幻影として浮かび上がった。
しなやかな長い身体を絡めながら首を擡げた月白の大蛇。宝玉のような紅の瞳を輝かせ、大きく口を開けた美しい白蛇が弥白の背中に重なった。
「弥白っ!」
静けさに包まれた空気を揺るがすように岩場に響いたのは水越の声だった。彼の背後にはなぜか長く黒い影が伸びている。
その声にわずかに瞼を上げた弥白の目尻から真っ赤な涙が溢れ出した。
息を切らしながら岩場をかけ下り、水に濡れるのも構わずに弥白のもとへと近づいた水越はその姿に息を呑んだ。
滝の中に弥白と同じように佇む月白の大蛇。その紅の瞳から溢れる涙に滝壺が血色に染まった。
「ハル……」
ゆっくりと頭を下げて水越を見下ろした蛇は、何かを悟ったかのようにすぅっとその姿を消した。
崖の上から流れ落ちる水は黒く、足元で白い滴となって飛び散った。
茫然とその水に打たれたまま身動き一つしない弥白にそっと手を伸ばす。一度、躊躇してその手を止めた水越だったが、何かを振り切るように弥白の肩を引き寄せて、細い身体を強く抱きしめた。
「――弥白。何があった……」
肩からずり落ちた白かったであろう着物は薄汚れ、ぐっしょりと彼の肌に張り付いている。
生地越しに透けて見える胸の突起は赤く腫れ、隠そうともしない下肢は何ヶ所も鬱血していた。
冷え切った体を包み込み、落下する水から庇うように岩場の方へと移動する。
カチカチと小さな音を立てて歯を鳴らす弥白を抱きしめると、細い微かな声が漏れた。
「も……生きて、いられ……ない。俺は……貴方をまた……裏切った」
「どういうことだ?」
「貴方を邪神にした……罪……。何も出来なかった……自分が……悔しい」
「何を言っている? おい……弥白っ」
水越を見上げた弥白の焦点はまるで合っていない。まるでうわ言のように言葉を紡ぐ青紫色の唇が震えていた。
「弥白っ」
声を上げた水越の胸元に顔を埋めると、弥白は彼のジャケットを握りしめた。
その力は指先が白くなるほど強く、水越を困惑させた。
「――貴方以外の男に……悦びを感じる淫らな体。でも……満たされない。胸が苦しい……息ができ……ない」
途切れ途切れではあるが、意思のあるその声に水越は耳を傾けた。
これは弥白であって弥白ではない。彼の奥底に封じられていた真実の声……。
「もう……貴方の嘆きは聞きたくない。お願い……。も……誰も傷つけ……ない、で。お願い……」
掠れた声が不意に止まった。弥白は言い終えると同時に、その体を水越の胸に預け意識を失った。
濡れて着物が張り付いた臀部の割れ目から、トプリと音を立てて白濁が流れ出て足元を汚した。
それに気づいた水越は大きく目を見開いた。その瞳は怒りを湛えた金色に変わっていた。
意識のない弥白の尻たぶを大きな手で鷲掴むと、赤く腫れ熱を持った蕾にそっと指を這わせた。
指先で広げただけでポタポタと滴り落ちる白濁に、彼の目つきがだんだんと鋭くなった。
「――黒芭っ」
二人の姿を見つけた灰英が岩場を下りてくる。水越の腕の中でぐったりと倒れ込んだ弥白の姿を見るなり、鋭い牙を剥き出して彼を睨みつけた。
「何をしたっ? 弥白に……何があった!」
暗闇に青い瞳を光らせて叫んだ灰英もまた、弥白の腿を伝う大量の白濁に気付いて息を呑んだ。
その青い匂いに、露骨に顔を歪ませる。
「黒芭……。お前……っ」
「落ち着け、灰英……」
水越は怒りを湛えた金色の瞳をすっと細めてから、あえて冷静な口調で騒ぐ灰英を諭した。
まるで、自身の怒りを抑え込むかのかのように……。
肩まである黒髪が夜風にそよぐように腰まで伸びる。艶のある漆黒の髪がふわりと風を孕んだ時、彼の薄い唇がゆっくりと開いた。
『気を乱すな……。弥白の心が揺れる』
「なにっ」
『――俺もお前と同様、怒りで腸が煮えくり返りそうだ』
本来の姿へと戻った黒芭は努めて静かに言った。掠れた低い声に、灰英は彼が怒りを必死に抑えていることを知った。
「お前じゃないのか……。じゃあ、誰が弥白をっ」
『そう騒ぐな……。従者たちが我らの気を悟って動き出すではないか。今宵は宵祭り……。騒動は起したくない』
「どうしてそんなに冷静でいられる? 弥白は……何者かに犯されたんだぞ!」
今にも咬みつかん勢いで身を乗り出した灰英を、黒芭は涼やかな目で見つめた。
『こんな哀れな姿を見て、この俺が冷静でいられると思うか? 明日、祝言をあげる花嫁が……』
「どう見ても他人事のように……」
『黙れ……っ。お前には聞こえないのか? 弥白の願いが……』
「願い?」
『過ちを繰り返すな――と。お前は知っているだろう? 最愛の伴侶であった玄白を失った夜、俺は狂ったように村を襲い、大勢の犠牲者を出した。彼を娶り、神の力を失った俺が再び神としての力を取り戻した瞬間だった。しかし……俺はその力と引き換えにかけがえのないものを失った。ずっと黙っていた……。神々の反対を押し切って人間であった彼を娶り、そして全ての神を敵に回し、その地位も力も失っていたことを。――つまらない男の意地だ。でも、彼はそれに気づいていた。力を授けたのは俺自身なのに……。気付かなかった俺はどこまで間抜けだったのだろうな。それを見抜く力……玄白の瞳の前では嘘はつけないって』
「黒芭……」
『彼は自ら男を誘い、脚を開くような男ではない。俺に村を襲わせ、荒ぶる邪神としての罪を背負わせたのにはきっと理由がある。それを――玄白の口から聞きたい』
「でも、玄白は……っ」
『――いるんだよ』
「え?」
『ハルは……ここで眠っている。戸倉弥白として生を受けてな……』
瞠目したまま息を呑んだ灰英を見つめ、黒芭は言葉を続けた。
『お前も彼と体を繋いだ時に目にしているはずだ。背中に浮かびあった月白の蛇を……。あれは彼の中に眠る玄白の本心。――だから言っただろう? 弥白は人間じゃない……と。人間という器の中に神を宿した特別な存在……。その本質である玄白は俺を求め、器である弥白はお前を求めていた。二つの心を持つ運命の番……。俺とお前、どちらかが欠けても彼の心は満たされない。美しく優雅でありながら、その本質は貪欲で妖艶に俺たちを誘う。弥白の中に眠る玄白の力を取り戻すには、空になった器にその力を満たすしかない』
「まさか……」
『数多くの種の中で番となりうる男――。弥白は俺たちを選んだ。明日、花嫁として彼を娶るのは俺だけじゃない。お前も……だ。だが、今の彼は些細なことで傷つき壊れる。番である俺たちが気を乱すことは彼をより不安にさせる。――犯人はもう分かっている。そいつの始末は婚姻の儀式が済んでからでも十分間に合う。お前は宮司として自身の職務を全うしろ。それが彼の願いだ』
「こんなことがあっていいのか……」
『今更驚くことではないだろう。現にお前も一柱の神としてこの世に存在している。――お互いに長年待ち続けてきた男を花嫁として迎えるんだ。こんなに喜ばしいことはない』
自嘲気味に口元を緩めた黒芭を、灰英はただただ見つめる事しか出来なかった。
(俺が弥白を娶る……)
黒芭の言葉を未だに信じきれない灰英は、困惑した表情のまま動けずにいた。正直なところ、まだ自身の中で渦巻いたままの犯人への怒りと嫉妬を抑え出来ずにいる。
もし、ここに黒芭がいなかったら……。
玄白を失った夜の彼と同様、この小さな村に自身の怒りをぶつけていたかもしれない。
村を守るはずの蛇神は時として愚かな人間に牙を剥き、災いを起こす。だが、あの夜の黒芭の力を思えば、今の灰英の力などたかが知れている。
一度は失った神の力を完全な形で取り戻した黒芭。最愛の伴侶を失った怒りが山を揺らし、川を狂わせ、村を襲った。
蛇石に封じ込まれたままの黒芭の力は、灰英が知る以上のものだ。
その血を受け、彼の眷属として力を得た灰英。蛇石の封印を解けば、灰英の力もまた黒芭と同じく強大なものとなる。
花嫁を――いや、元は神であった玄白の生まれ変わりである弥白を娶るということは、その力が必然的に必要になってくるということなのだ。
『――もう、分かっているようだな。ハルが命を掛けて取り戻してくれた俺の力を解放しろ。あの岩の封印を解けるのは蛇神守の末裔であるお前だけなのだからな』
まるで心の内を読まれたかのようにそう呟いた黒芭は、艶やかな長い黒髪を風に躍らせながら、弥白の体を軽々と抱き上げて、閉じたままの瞼にそっとキスを落とした。
弥白の腿の内側から脹脛、そして爪先へと流れる精液から目を反らし、灰英は忌々しそうに唇を噛んだ。
幼い頃から愛していた男が穢された。昼間、自身が彼の中に注いだモノと一緒に流れ出ていると思うと、悔しさに拳をギュッと握りしめた。
湯殿で見た弥白の体に残されてた情痕。それを思い出し、灰英はハッと息を呑んでから重々しい口調で黒芭に問うた。
「――黒芭。お前は弥白と……契ったのか?」
伏せ目がちに弥白の顔を見つめていた黒芭がゆっくりと視線を上げた。
そして、薄い唇をふわりと綻ばせながら金色の瞳をわずかに細め、まるで何かを挑むような目で灰英を見据えた。
『なぜだろうな……。彼がハルの生まれ変わりであると知る前に、どうしても手に入れたくなった。ハルが呼んだか……。それとも、弥白が先読みの力を使い、俺たちを引寄せたか……』
「そんなことはどうでもいい。弥白の初めての相手は――お前だったんだな?」
『そうだ……。腕の中で乱れる弥白は愛らしく、何より妖艶だった』
灰英は、幼馴染である自身が弥白の処女を奪えなかったことに憤りを感じてはいたが、その反面で彼にこんな酷いことをした男たちによって初めての蕾を散らされなかったことに安堵していた。
そう――目の前にいる黒芭で良かった……と。
主でありながら互いに信頼を寄せ、見えない絆で結ばれた黒芭。そして、灰英と同じく弥白を愛し、慈しむ男であることは、もう十分すぎるほど分かっている。
たとえそれが、弥白の中にいる玄白へ向けられた感情だったとしても、灰英は許すことが出来た。
「――良かった。お前で……良かった」
『神の力を宿した弥白の体は、神である我々にしか満たすことは出来ん。俺とお前が注いだ子種は愚かな男どもの子種を喰い殺し、それを糧に弥白の心と体を満たす。今、こうして流れ出ているのはその残骸にすぎん。邪悪なものは彼の中で浄化される。俺たちが犯した罪と共にな……』
灰英は俯いたまま、風に乱された灰色の髪を乱暴に掻き上げた。この村で夏の終わりに花を咲かせる芍薬のバラにも似た甘い香りが、境内を吹き抜ける風にのって優しく三人を包み込んだ。
「俺たちが犯した罪――か」
ボソリと呟いた灰英の声が滝の音に吸い込まれていく。
幼い頃から弥白が抱いていた空虚な心を満たせなかった罪。
「絶対に守る」と決めた彼を守れなかった罪。
「死にたい」と口にすることを咎められなかった罪。
そして――何よりも愛することを止められないという罪。
黒芭によって神として生きることを受け入れなければ、弥白とは永遠に交わることはなかった。
神と人間が意識することなく交錯する現代に、こうして出逢うことは必然であり運命だった。
『灰英。弥白が体を冷やす……。神殿に戻るぞ』
黒芭の言葉に、はっと我に返った灰英は自身の左肩にある蛇の頭をそっと手で触れてから小さく頷いた。
夜が明ければ、弥白はこの蛇水神社に迎えられる。
生贄としてではなく二人の花嫁として、玄白の遺志を継いだ美しい月白の蛇神となる。
その姿を想像しながら、灰英は夜空を覆うように黒い影を成す山を見上げた。
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