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第3夜
「見せてください」
そう言って、あっという間に亘の手からスマホを取り上げた。
「クリスマスはぼっちですか?」
ヒトのスマホを平然とスクロールさせながら、ちらっと亘に視線をよこして聞いた。
「クリスマスにひとりでいること、クリぼっちって言うんだってね。クラスの子が言ってた。クリぼっちってかわいい響きだよね」
いい年してかわいいもないけどね、と亘が小首をかしげながら答えになったようなならないような返事をすると、貴志がフッと笑った。思わず出たらしい優しげな笑顔に、亘もつられて笑った。
目が合った貴志が一瞬赤くなった気がしたのは、気のせいか。
「申し込んでおいてあげましたよ。イブの夕方、6時に着きます」
いつの間にか取り出していた自分のスマホを片手に、貴志はいつもの少し意地悪な笑顔を浮かべて言った。
「ええっ!頼んでないよ、そんなこと」
亘は眉を寄せて弱々しく抗議する。そんな亘を貴志は面白そうに見ていた。
「ま、クリスマスらしい気分を味わってくださいよ。誰か呼んだらどうです?」
「誰かって、クリスマスに呼べるような知り合いなんていないよ」
「おれもイブはクリパがあるんで、残念ながら行けないですよ」
「え?」
きょとんとした顔で見つめてきた亘に、ゴホンと咳払いしながら手を振ると、貴志は足早に去って行った。
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