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第4夜

ケーキをキャンセルするよう、貴志に頼むことはできただろう。 だが冬休み前で授業以外の行事も多く、また、成績をつけたり、休み中の宿題や年末年始の注意事項を書いたプリントの準備をしたりと、目が回るような忙しさに追われ、ケーキのことなどすっかり忘れていた。 そして、そのままあっという間にイブがやってきてしまったのだ。 講師の女性や貴志は本当に亘には声をかけただけで、イブの日にパーティーに誘ってくれるということはなかった。もっとも、亘自身は騒々しい場所は苦手で、パーティーなどに興味はないので誘ってもらえないのは全然構わなかった。 いつもの休日と同じように、持ち帰った仕事をして過ごすつもりだった。が、クリスマスケーキが届くというのがどこかちょっと心が浮き立ち、そわそわする気持ちを落ち着かせるために、部屋を片付け始めた。 出しっ放しになっていた本や新聞を所定の場所にしまい、掃除機をかけた。もともときれい好きなので、せまいワンルームはあっという間に片付いた。 それでもまだ落ち着かなかったので、近所のコンビニで飲み物でも買ってこようと着替えていると、玄関のチャイムが鳴った。 ケーキ以外に来客の心当たりはなく、ケーキにしては早すぎるので、なんの勧誘かとドアスコープを覗くと、宅配ピザの配達員が立っていた。 「ピザとオードブル、お持ちしました」 サンタの衣装をきた配達員は、ドアを開けた亘に大きな箱をふたつ渡してきた。 「え、え?頼んでないけど…」 困惑している亘を前に、配達員は伝票を見ながら言った。 「ええと、24日、シーフードと3種のチーズMサイズ一枚、洋風オードブル小を一個、こちらへ配達、と承っております」 それでもまだ不審そうな亘に、配達員は言葉を継いだ。 「注文されたのは、遠藤貴志様です。代金もいただいております」 「遠藤先生…」

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