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第13夜

亘のアパートはワンルームだったが、風呂トイレが別で、浴室に窓がついていた。 2人で湯船に入ると、少し開けてある小さな窓から空が見えた。 小柄な亘を大柄な貴志が背後から包みこむような体勢で、2人は湯船に浸かっていた。 ベッドの上で貴志に抱かれながらピザやチキンをかじった。 ケーキは貴志がフォークでひと口ひと口すくい取り、亘の口に入れてくれた。亘の口からはみ出したり、こぼれ落ちたりしたクリームを貴志がなめとったりとイチャイチャしているうちに、亘も貴志もいろんなところがベタベタしてきたので、ふたりで身体を洗うことにした。 亘は貴志に身体を預け、トロトロと意識を宙に漂わせていた。貴志は亘の身体をなでながら、頬や首すじにキスを繰り返し、すべすべした感触を楽しんでいるようだった。 「クリスマスに…」 何度目かのキスを交わした後、亘がつぶやいた。 「はい…?」 「クリスマスとか、誕生日とかに、こんな風に誰かに告白される、っていうサプライズ、想像したことある。中学生の女の子みたいで恥ずかしいけど」 「ええ」 「まさかほんとに叶うとはとは思わなかった。しかも、遠藤先生とは」 クスクス笑う亘の後頭部に、貴志は額をこすりつけながらつぶやいた。 「俺なんかですみません。でも、もう離してはあげられない」 「はい、僕もうれしい」 「佐伯先生…」 「…実は遠藤先生で妄想したこともあるから」 「ホントですか」 貴志の声が弾んで聞こえた。亘は照れ臭さを隠すように、お湯をすくって顔にかけた。 「時々、すごく優しくしてくれることがあるよね。でもすぐに意地悪になるから、気のせいだと思ってた。優しくてイケメンな遠藤先生が恋人だったらなあ、夢を見るだけなら許してくれるかなって」 「佐伯先生、もう、意地悪しません。あなたが夢に見ていた通り、幸せにします」 亘をきつく抱きしめながら、貴志が悔恨をにじませながらうめくように言った。 背後から胸に回された貴志の腕を撫でながら、亘はコクコクとうなづいた。

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