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🎄 Jaz Night eve 5 🎄 18日
🎄 Jaz Night eve 5 🎄 18日
スタッフがそれなりに場を取り繕い、
酔客の興味は薄れて、話はそこでついた、ということか……
伊月と彼女から晴矢が離れた隙に俺は晴矢の腕を掴んでトイレの通路の方に連れ込んだ。
「 おい、どういうことだよ 」
「 え? 」
「 あの子はストーカーかなんかなの?俺の殴られた原因も彼女だろ?
ダメならダメではっきりことわれよ 」
「 ああ、それな 」
と言いながら暫く気まずそうにしている晴矢。
その口から驚くような話が出てきた。
「 泊めてるんだ、あの子を 」
「 え?あの子って、彼女?まさか 」
「 違う、伊月を俺のうちに泊めてる 」
「 なんで? 」
俺は驚いて詰め寄った。そして、さっきの伊月の言葉の違和感の答えがこれだということに胸に鉛を抱えてような嫌な気分になっていた。
「 なんだって、あいつが泊めてくれって言うから、演奏するのにスコアも見たいしって 」
「 お前、知りもしない男を家にあげて泊めるのかよ 」
黙ってどう答えようか逡巡する姿を見て俺は猛烈にイライラきた。
「 今夜は帰るみたいだから、もういいだろ? 」
「 お前らどんな関係なんだよ……」
「 俺にもよくわかんないけど、とにかくクリスマス終わるまではこのままほっとくよ、啓志それよりも」
ほかの男を泊めておいて、何かはっきりしない態度を取る晴矢、それに嫉妬してるのか?俺は?
思わず晴矢を抱きしめてそのはっきりしないことを言う唇を塞ぎたくなった。
え?何考えてるんだ俺。
自分自身のやることに自信が持てなくなった俺は、
「 悪い、なんか混乱してる……
帰るわ 」
と止める晴矢の手を振りきり店を後にした。
何をするかわからない、この関係をぶち壊しそうな衝動に自分が怯えた。
外に出て思わず空を見上げた。
さっきまで星空だったのにもう今じゃ月も見えやしない。
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