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🎄 Jazz Night eve 🎄 22日 世界中が恋に落ちる 1
🎄 Jazz Night eve 6 🎄 22日
世界中が恋に落ちる
22日の大阪は朝から雪混じりの雨で気分も体もぐったりと濡れて重い。爽快ではない朝をむかえて俺はここ数日のことを思い出していた。
翌日の19日、どうしてもあいつを泊めてるっていう晴矢の事が気になって仕方のない俺は部屋にいるのか?とラインを入れた後、夕方の打ち合わせ前に晴矢のアパートに向かった。
インターホンを押す俺の指。
こんないじましい事をやめて仕事に戻れとなぜ止めなかったのか。
音が鳴った時の嫌な動悸。
開けたドアから顔を出したのは晴矢だと思いたい俺に、目の前の男が口を開く。
「 あっ 」
「 え? 」
「 あ、今晴矢さん風呂に入ってて 」
スコアを持った伊月が少し眉を顰めてそう告げる。
「 シャワー……
そっか、出直すわ 」
俺が行くと言った時間に風呂に入っていた晴矢。なんでこんな普通の言葉が出たのか自分でもよくわからないうちに急ぎ足で駅まで戻った。
その夜晴矢からは普通にラインが入った。
[ ごめん、なんか用だった?]
[ いや、別にまた店に顔を出すわ ]
こんなやり取りで終わった夜から一夜明け20日に突然大阪への出張が入った。
こんな時期にと思いながらも雨続きでスケジュールの押した現場に年末検査を受けさせるのに監理に行くのは外せない。
2泊はしないと段取りはつけられないだろうと覚悟して新幹線に乗り込んだ。
向こうに行けば飯の時間さえ打ち合わせに取られる。
おまけに待っていた施主から忘年会と称した飲み会に連れ回され、晴矢とはラインのやりとりも夜中になる。
明日午後には解放されると算段がついた21日の夜中。
歯ぎしりする様なラインが入った。
[どうしよう、好きだと言われた]
[どうしよう、キスされた]
[どうしよう、抱きしめられた]
誰だ?相手は?その先は?
一方的に、送られてくるだけでラインに答えは入らない。酔い覚ましに水を何杯も飲む。
かけても通じない電話に
イライラが募る。
なんだこの展開は?離れた距離にいきどおる。
朝飯を食べた後現場に向かう。
一方的に伝えたきり沈黙したラインの向こうにはまだ隠されたなにかがある。相手は泊まってるあいつなのか?
あのギタリストはなにをしてるんだ。
集中しなくちゃならない問題を何とかこなして、昼過ぎ一番でやっと役所の検査を終えた俺は午後の飛行機に伊丹から乗った。
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