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🎄 Jazz Night eve 7 🎄 22日

駆けつけた店では相変わらず最初の曲はクリスマスソング。 ステージの晴矢は紺色のスーツのトラウザースに真っ白のショートポイントのドレスシャツを着ている。 バストダーツが入って身体のラインが美しくシャープに出るシャツのボタンは普段より2つ余計に外している。 なんだよ、そんな媚び、誰に売ってんだよ。 Bell Carol Blues だろう、この曲は。 追い込んで行くようなサックスに不安しか感じない。 なにがクリスマスだ。 そしてまた、テーブルには当然のように彼女が座る。 『 あの眼を見た?すっかり夢中なの 』 『 知ってる、帰ってこないの、ずっと彼のそばにいる 』 『 晴矢さんも受け入れてるし、伊月に負けるのかな、私 』 彼女に焚き付けられる。煽られる嫉妬の嵐。 昨夜のラインは伊月とのことか? 何も答えは出ずに進むのはアルコールばかりだ。 演奏なんて耳に入らない。 ステージの上の2人にしか目がいかない。 キスしたってどこに? お前ら男同士じゃないか…… 抱きしめられたってどこで? なんで抵抗しないんだよ 好きだって言われたって、なんて答えた? なんで、俺じゃないんだ。 伊月が晴矢を見つめてるのが嫌だ。 晴矢が伊月から眼を逸らしてるのが嫌だ。 今夜のラストの曲は Christmas Waltz ゆったりと流れるように始まるテナーのメロディー 一年のうちでこの季節だけは世界中が恋に落ちる。 お前も恋に落ちたの? 近くなってる2人の姿を見て、俺は苦しいほど嫉妬する。 演奏が終わると俺は晴矢のそばに行き外で待ってるからと告げる。 わかったと言った晴矢を待つために外に出る。俺たちの会話を気にしてる事がありありとわかる伊月の様子に晴矢と一緒に出てくるかと思ったが、晴矢は一人で店から出てきた。 「曇ってるな、寒いけど、 冬って晴れて星空だと寒いじゃない」 そんなことを言いながら俺の隣に立つ晴矢に、まるでお腹が空きましたというような口調で俺は、 「 おまえが、好きだ 」 と告げる。 じっと黙ったまま、晴矢が俺の方を見つめているのがわかる。 「 けい 」 という言葉を遮って、返事はイブの夜にくれと肩を抱き寄せる。 驚く視線から逃げるように、そのこめかみにキスをして別れる。 バカ と晴矢が呟いたのが聞こえた気がした。

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