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🎄 Jazz Night eve 9 🎄 24日 俺たちのイブ
🎄 Jazz Night eve 9 🎄 24日
俺たちのイブ
それでもあきらめられなかった俺は、
イブの日に店に顔を出す。
半分は青タンに飾られた俺の顔は
華やかな日には似合わない。
驚く知り合いのスタッフにお願いをして、一番隅の光の当たらない席に案内してもらった。
一段と華やかな今夜はクリスマス イブ。
集う人々は皆一様に幸せだという自分を競ってる。
85%は失恋の自覚がある俺には少々眩しい夜だな。
オープニングの曲
気分に合わない派手なクリスマスソングを盛大にジャムられる。
今夜はオールクリスマスソング
明るいのが最後まで不愉快だわ。
サンタは街にやってこなくていい。
ベルはジングル鳴らなくていい。
救いの御子は俺のところにやってきて。
結局最後まで立ち上がりもせず帰りもしない俺。
ラストの曲はなんだろうね、
濃いバーボンの水割りを
チビチビ飲みながらいつ帰ろうかと算段していると、
急に晴矢の声が聞こえてきた。
クリスマスとは、普段よりもう少し誰かのためになにかをしてあげること。
そして僕は好きな人のために作りました。
最後の曲はまだ名前もつけていません。皆さんのそれぞれの想いを載せてください。
アルトサックスが切なげにはじまる晴矢が作曲した曲。
心が痛くなるほど重く響くその演奏。
終始サックスのみで奏でられるそれはたった一人がたった一人のために演奏する愛を告げる歌?
気がつくと暗がりにいる俺を晴矢はしっかりと見つめていた。
演奏が終わると、さざ波のように拍手が起こって、最後は大きくもない店で割れるような歓声と拍手が起こっていた。
ステージは暗くなる、
グラスの軽くぶつかる音、かるい笑い声の中を晴矢がこちらに歩いてくる。
明るくなった店内にスタッフがクリスマスイブにふるまうシャンパンを持って客先の間を縫うように歩き回るのが見える。
俺は下を向いて晴矢の方を見ないようにする。さっき抱いた想い。もし間違っていたらボロボロになりそうだ。
応える曲は
俺のコメント付き
オリジナルの作曲した
クリスマス
ラブソング
それが俺の答えだよ
と俺に近づき晴矢は耳元で囁いてくれた。
シャンパンで盛り上がる店を後に俺たちは外に出た。
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