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滞在一日目 その1

翌朝。 宿の食堂で朝食を食べ終わるとノアさんは、教会に挨拶に行くと言って宿から出ていった。 聖職者は仕事が多いらしい・・・吸血鬼だから純粋な聖職者ではないけど。 その間、俺は自由時間。 今日は街を散歩してみようかな。 「おや。貴方は昨日の旅人さんですね。」 街を歩いていると、昨日宿屋を紹介してくれた人に会った。 昨日とは違い、エプロンを身に付けていた。 背後にある小さな家から甘い香りが漂っている。 「あ。おはようございます。昨日はありがとうございました。」 「いえいえ。昨日は長話をしてしまって申し訳ないです。実は焼き菓子の店をやっているのですが、よろしければ寄ってきませんか?」 店に入ると彼は、お茶とできたての焼き菓子を持ってきてくれた。 「えっと。わざわざありがとうございます。」 「いえ。私も疲れていたので休憩です。この時期は忙しいので・・・。」 「そうなんですか?」 「はい。昨日は伝え忘れていたのですが、この時期この町にはプレゼントを贈る風習があるんですよ。好きな人や、大切な人、出会った人全員にプレゼントを渡す方もいますよ。」 なるほど。プレゼント・・・それなら俺も。 「あの。俺もプレゼントしたい人達がいるんです。焼き菓子見せてもらってもいいですか?」 「ええ。ぜひ見てください。昨日の聖職者さんにですか?」 「いいえ。俺の故郷の人達にプレゼントしたいのです。ノアさんのは・・・もう少し悩んでみます。」 俺がそう言うと、彼は笑って頷いた。 あとがき クリスマス短編のはずがもう2月ですね・・・ 頑張って完結させます!

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