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#2-4

高橋ちゃんが可愛い、野中さんも可愛い、石田さん胸でかい、エトセトラエトセトラ。 隣の一組と合同で行われる体育の授業は、佐々井にとって目から英気を養うための時間らしい。 今日の種目は陸上、クソ暑いのにグラウンド。 授業は男女別の形をとっているが、場所が同じなのだから実質、見放題だ。 女子のトラックにちらちら目線を忍ばせている奴は他にもいるが、ここまでのガン見は佐々井くらいじゃないだろうか。 下世話を通り越して清々しさすら感じる。 「んん、でも、やっぱ高橋ちゃんかなぁ……ニコニコしてて可愛いんだよなぁ……好き」 「やっすい好きだな」 そもそも何を選んでんだ。付き合えるわけでもねーのに。 「水島は誰かいねえのかよ。黒髪ロングなら市井さんとか? 安倍ちゃんも清楚系って感じだよな、可愛い」 「誰かっつってもな……そもそも女子の名前あんま覚えてねえし」 同じクラスならまだしも、接点のない別のクラスの女子なんて覚えていられるもんなのか? 純粋に疑問に思ってそう言うと、佐々井が人外生物を見る目で俺を見た。 「お前ってインポなの?」 「何でそうなるんだよ」 別に興味がないわけじゃない。 佐々井が去年から可愛い可愛い言っていたから高橋は覚えたし、他の男子からも人気がある野中も覚えている、確かにどっちも可愛い。 安倍は去年同じクラスで隣の席になったこともあった、気さくで話しやすかったし、ちょっといいなと思ったりもしていた。 他にも顔が好みだなとか、いい奴だなとか、そういうことを女子に対して思うことはある。 あるが、それだけだ。 それ以上の感情はないし、佐々井のようにそれをああだこうだと口に出すことにも、特別楽しさを感じない。 佐々井が大袈裟に肩を竦め、首を横に振った。 「お前の顔面が勿体ねえよ。俺ならそのイケメン、もっと有効活用してやんのにさぁ……何でこんなロリコンインポ野郎に……」 「どっちも違えよふざけんな」 集合を告げるホイッスルが響く。この後は短距離走のタイムを測ることになっている。 トラックの端に集まる生徒の流れに乗って、俺たちもだらだらと移動を開始した。

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