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第2話

 明け方に(ねぐら)──マンションの一室に戻るころには、元気もりもりだ。  順平は、レオンをうっとりと見つめた。艶やかな金髪が花の(かんばせ)を縁取る。すみれ色の瞳は英知を宿し、体つきはしなやかだ。  ただし優美な見た目とは裏腹に、ボトムをずり下ろして尻たぶをぼりぼりと搔くあたり、わりとガサツだ。ひくこともあるが、それよりアバタもエクボを地でいって、可愛らしい丸みに頬ずりをしたくなる。 「今夜は粒ぞろいだったな。飲むか」  レオンが髪をかきあげて、うなじをさらす。浅ましく喉が鳴り、むしゃぶりついていくと、 足払いをかけられた。  あらためて向かい合って立つ。粛々と首筋に唇を寄せて、ひと吸い、ふた吸いすると、きらきらしいものが流れ込んできて、妙なる調べを奏でる。  レオンの体内で熟成された精気は、まろやかで、滋味にあふれていて、芳醇このうえない。細胞のひとつひとつに染みわたっていくにつれて、光り輝くヴェールに包まれるようだ。  レオンの身長に合わせて腰をかがめ、交替する。さっそく精気の溜まりをついばまれると、躰の芯が甘く痺れる。  交換の儀を行うことで絆がより深まる。順平は毎回、感動に打ち震えて、うれし涙を流すのが常だった。  百十年前にひと目惚れして以来、恋心はつのる一方なのだ。朱唇が肌を這う感触に幸せを嚙みしめ、それでいて未練がましいことを考えてしまう。  朝勃ちが健康のバロメータだったうちに童貞を卒業しておけばよかった。いや、大いなる目標がある。レオンに童貞を献上たてまつり、幾久しくおさめていただきたい。  生殖能力は失われた身だが、現在(いま)でもしごくと勃つ。手がすべったふうを装って双丘を撫でてみると、三日分に相当する量の精気を吸い取られた。へなへなとくずおれたとたん、股ぐらから一センチの位置に爪先が出現して、(くう)()ぐ。 「不意にサッカーをやりたい衝動に駆られた。シュートの練習台になりたいよな?」 「ごっ、ご勘弁を」

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