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第4話

 風呂から上がった雅と小さなベッドで一緒に眠る。  小さく丸まって眠るのは昔からの雅の癖で、成長した今でもそのままだ。  小さなベッドで丸まられると俺の寝る場所が狭くなる。別々の布団で寝ればいいのにそれだけは絶対にしない。  同じ部屋、同じ布団、同じ姿勢。そして、俺。  それがないと雅は安心して眠れない。  眠りについた雅を見て、俺はベッドからそっと抜け出し台所で水を飲む。  十分ほどそこで過ごす。台所の時計を見ながら。  ……そろそろ、かな。  ――雅は暗闇恐怖症だ。  夜、クローゼットの中で寝ている間に母親が出かけていなくなる事がよくあったせいで、寝ている間に暗いところで一人にされるのを極端に怖がる。  小さい頃はうちによく泊まりに来ていたけれど、中学に入って悪い友達が出来てからはあまり来なくなった。  夜通し遊んで、明るくなってから帰ってきて授業中に寝る。そんな生活をしていた。  部屋を抜け出して十五分。俺の部屋から雅の声がする。  泣き叫ぶ、悲嘆の声。  そこでようやく俺は部屋に戻る。 「しいなっ、しいな……」  涙でぐちゃぐちゃの顔をして俺を呼ぶ雅。  パニックになっていて、俺が部屋に戻って来たのも気が付かない。 「一人にしないでっ……しいな……っ」  可哀想な雅。 「雅、大丈夫」  雅を軽く抱き寄せると、縋り付く様に泣きじゃくる。  俺はこの雅の姿がたまらなく好きだ。  俺にだけ見せる弱い、プライドも何も無い、普段の不良の姿じゃない雅。  俺だけの特別。俺だけの雅。  これが見たくてわざとベッドから抜け出すんだ。 「一人にしないで」  懇願する雅の背中をさすりながらたまらない優越感を抱く。 「しないよ、雅。一人になんてしない」  雅が俺に縋ってくるうちは雅は俺だけのものだから。

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