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第5話

「ねぇ、知ってる?」  泊まりに来ていた雅がある日、俺に言った。 「オレ、椎名がいないとダメなんだよ」  そんな事はとうの昔に知っている。  雅が言いたいのはそういう事じゃない。  まだ俺が知識としてしか知らない世界へ連れて行こうとしたのは雅。  それまではスキンシップは多いものの、せいぜい抱きつくくらいだった。  だけど、その日は違った。  雅が俺をどうしたいか、すぐに察しが付いた。 「いいよ」  こんな事は別に大した事じゃない。  俺が雅にそれを教えてやる。  気持ち良くなれれば、それでいいんだって。  所詮、男なんて性欲には勝てないんだから女の人の支配欲を満たす為に腰を振る事に嫌悪感なんて持たなくていいんだって事を。  それがわかれば雅は俺を必要としなくなるかもしれない。他の人でも眠れるかもしれない。だからこれは賭けだった。  俺の身体。誰かの身体。  雅はどっちを受け入れるのか。    ベッドに横になる雅の上にまたがって、本来なら出す為の場所に雅のモノを入れようとするけれど、当然なかなか入らない。  当たり前か。初めてだし、男だし。なんの準備もしていないし。 「しいな、平気?」 「黙ってて」  主導権は握らせない。入れるのは雅だけれど、俺は雅に仕方なしに身体を許すだけ。それだけ。  けれど、思っていたより準備なしに入れるのは難しくて汗だけが流れる。  ハンドクリームを使って解すのを雅は喉を鳴らしながらじっと眺めていた。ふと雅の下半身に目をやると服の上から明らかに硬く膨らんだモノが見えて俺の中の残酷さがざわついた。 「しいな……」  女じゃなくても興奮するんだ、雅は。それとも俺だから?  俺だから興奮するんだったらいいのに。そうだったらもっと雅は俺に依存してくれる。  焦らされて痺れを切らした雅が俺の腰を掴んで無理やり腰を下ろさせて中に入れてきた。

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