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ハロウィン妄想と恋人たちの時間03

「斉藤、俺らハロウィンは予定あるから」  相庭の肩と俺の頭を掴んで強引に引き剥がした男が、鋭い眼光を向けてくる。 (俺らってなに、ら、って! おまえは呼んでないんですけどぉぉ??)  むむむと唇を尖らせて睨み返したら、バチバチと火花が散った。 「椎名、おはよ」  相庭がヤツを見てふわっと相貌を緩める。つられて椎名の目尻が垂れ下がった。 (ちょっとちょっとなによその顔は! 俺は気づいてんだからな! おまえも忍ちゃんに下心があるんだろ! 独り占めしたいって思ってるんだろ! 牽制なんかしやがってムカつくっ!) 「椎名には聞いてないし。俺は忍ちゃんがいればいいしぃ~」  離れてしまった相庭を取り戻したい一心でてのひらを追いかけ、重ねてにぎにぎすると、ものすごい形相で椎名の手刀が落ちた。 「いった!」 「ジョークにしてはスキンシップ激しくないか? 自重しろ」 「別にちょっと触っただけだし」 「家で相庭に何着せるつもりだった」 「えーとえーと、悪魔とか? 黒猫の耳と尻尾もいいし、赤ずきんちゃんもいいかもしんない」  スラスラと着てほしい衣装を並べ立てると、椎名がくっと眉を寄せた。 ……あ、こいつ今ゼッタイ想像した!

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