23 / 37
ハロウィン妄想と恋人たちの時間03
「斉藤、俺らハロウィンは予定あるから」
相庭の肩と俺の頭を掴んで強引に引き剥がした男が、鋭い眼光を向けてくる。
(俺らってなに、ら、って! おまえは呼んでないんですけどぉぉ??)
むむむと唇を尖らせて睨み返したら、バチバチと火花が散った。
「椎名、おはよ」
相庭がヤツを見てふわっと相貌を緩める。つられて椎名の目尻が垂れ下がった。
(ちょっとちょっとなによその顔は! 俺は気づいてんだからな! おまえも忍ちゃんに下心があるんだろ! 独り占めしたいって思ってるんだろ! 牽制なんかしやがってムカつくっ!)
「椎名には聞いてないし。俺は忍ちゃんがいればいいしぃ~」
離れてしまった相庭を取り戻したい一心でてのひらを追いかけ、重ねてにぎにぎすると、ものすごい形相で椎名の手刀が落ちた。
「いった!」
「ジョークにしてはスキンシップ激しくないか? 自重しろ」
「別にちょっと触っただけだし」
「家で相庭に何着せるつもりだった」
「えーとえーと、悪魔とか? 黒猫の耳と尻尾もいいし、赤ずきんちゃんもいいかもしんない」
スラスラと着てほしい衣装を並べ立てると、椎名がくっと眉を寄せた。
……あ、こいつ今ゼッタイ想像した!
ともだちにシェアしよう!